やっぱり危ない伊方原発 発電初日の地震直撃に専門家警鐘 - 日刊ゲンダイ(2016年8月17日)

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/187842

発電初日、襲われた。15日山口県で起きた震度3の地震伊方原発3号機がある愛媛県伊方町でも震度2を観測した。四国電力では12日に原発を再稼働し、15日から発電と送電を始めたばかり。いきなり地震に“直撃”され、周辺住民は「やっぱり伊方原発は危険だ」と不安を強めている。
伊方原発は以前から、その“危険性”が指摘されてきた。わずか8キロ先に国内最大の活断層中央構造線断層帯」があるからだ。4月の熊本地震はその延長線上の「布田川・日奈久断層帯」が動いて起きた。愛媛県中村時広知事は「(伊方原発で)福島と同じことが起こることはない」と断言しているが、何を根拠に言っているのか。武蔵野学院大島村英紀特任教授(地震学)がこう言う。
熊本地震以降、震源地は周辺地域に広がってきています。今回の震源地の伊予灘伊方原発のすぐ隣にある。非常に怖い場所で起こったといっていい。中央構造線断層帯沿いは、これまで地震が繰り返され、地震に弱い岩盤が広がっていて、不安要素は多いんです。しかも、福島第1原発事故の本当の原因は、まだ地震津波か、はっきりしていない。そうした段階で、伊方原発を『安全』と言い切るのは早すぎるでしょう」
そもそも、いま危険な「伊方原発」を再稼働させる理由はほとんどない。電力業界は「電力の安定供給に原発は欠かせない」と説明するが、原発稼働がゼロでも、電力は十分足りている。しかも、原油安の影響で火力発電の燃料費も安く済んでいる。「原発のほうがコストは安い」という言い分も、事故対応や廃炉への費用を考えると、正しい見方とはいえない。
ジャーナリスト・横田一氏はこう言う。
「電力会社が再稼働を急ぐのは、すでに燃料も買って施設もあるからです。初期投資が大きい原発では、なるべく長期で使用したほうが、経営上はプラスになる。政治家側も、現在は電力会社から直接の政治献金はありませんが、選挙時に運動員を出すという人件費の無償提供を受けている。『脱原発』という候補には、『応援しないぞ』と脅しをかけるケースも多い。選挙を“人質”に取られ、原発推進にならざるを得ないんです」
国民の安全よりも、大切なのはカネと選挙ということだ。発電初日に伊方原発を揺らした地震は、天の啓示ではないか。