東電「完全凍結は困難」 第一原発凍土遮水壁 規制委会合で見解 - 福島民報(2016年7月20日)

http://www.minpo.jp/news/detail/2016072032937
http://megalodon.jp/2016-0720-1351-31/www.minpo.jp/news/detail/2016072032937

東京電力は19日、福島第一原発の凍土遮水壁について、完全に凍結させることは難しいとの見解を明らかにした。同日、都内で開かれた原子力規制委員会有識者会合で東電の担当者が示した。東電はこれまで、最終的に100%凍結させる「完全閉合」を目指すとしていた。方針転換とも取れる内容で、県や地元市町村が反発している。
会合で東電側は規制委側に凍土遮水壁の最終目標を問われ、「(地下水の流入量を)凍土壁で抑え込み、サブドレン(建屋周辺の井戸)でくみ上げながら流入水をコントロールする」と説明。その上で「完全に凍らせても地下水の流入を完全に止めるのは技術的に困難」「完全閉合は考えていない」と明言した。
これに対し、オブザーバーとして出席した県の高坂潔原子力総括専門員は「完全閉合を考えていないというのは正式な場で聞いたことがない。方針転換に感じる」と指摘。東電側は「(凍土壁を)100%閉じたいのに変わりはないが、目的は流入量を減らすこと」と強調した。
凍土壁は1〜4号機の周囲約1.5キロの地中を凍らせ、建屋への地下水の流入を抑え、汚染水の発生量を減らす計画。
東電は3月末に一部で凍結を始めたが、一部で地中の温度が下がらず追加工事を実施した。東電によると、第一原発海側の一日当たりの地下水くみ上げ量は6月が平均321トン。5月の352トンに比べ31トン減少したが、凍土壁の十分な効果は確認できていない。
   ◇  ◇
東電が今年3月に特定原子力施設監視・評価検討会で公表した資料では凍土壁造成の最終の第3段階について「完全閉合する段階」と表記していた。経済産業省資源エネルギー庁も「凍土遮水壁は最終的には完全な凍結を目指す」(原子力発電所事故収束対応室)との認識だ。
規制委会合で東電が示した見解について、県の菅野信志原子力安全対策課長は「おそらく公の場では初めてではないか。汚染水の発生量を減らすという凍土遮水壁の目的を達成するため、当初の計画通り100%凍らせる努力が必要だ」と強調した。
福島第一原発が立地する双葉町の伊沢史朗町長も「公式の場で方針転換とも取られかねない発言を唐突にする東電の姿勢には、非常に違和感を感じる」と指摘した。双葉地方町村会長の馬場有浪江町長は「凍土壁で汚染水を完全に管理できるという説明だったはず。町民の帰還意欲にも影響しかねない問題だ」と批判した。
一方、東電は「地下水流入量抑制が目的で、100%閉合を確実に実施するわけではない。目的は変わっておらず方針転換ではない」(本店広報室)としている。

関連サイト)
3.11 あの時のことを忘れるな!〜映画『太陽の蓋』が描く「官邸・記者・東電」- レイバーネット日本(2016年6月18日)

http://www.labornetjp.org/news/2016/0618eiga

原発推進安倍晋三政府と東電は5年もたてば、日本人はすっかり原発事故のこと()を忘れてしまうと考え、インチキな情報を平気で発信している。だからメディア・リテラシーを守るためにも、この映画を観ておさらいしておくとよい。
首都圏壊滅がたまたま免れたことで、私たちはこの映画を冷静に楽しんで観ることができる。それと同時に、政権が変わっても、原子力ムラ優位の総理官邸と東電との力関係は現在も変わっていないことに気づき、うやむやの理屈で原発再稼働が進んでいる恐ろしさに愕然としてしまう。
そして、この先も原発関係の担当者は、事故の責任を問われるたびに、開き直って言い訳するのだろう。「私は専門家ではない」と・・・。

*映画「太陽の蓋」は2016年7月16日(土)から渋谷ユーロスペースより全国順次公開される。

『太陽の蓋』オフィシャルサイト
http://taiyounofuta.com/