姑息! 自民党が「子供たちを戦場に送るな」教師の取締密告フォームをこっそり差し替え…ごまかしても“魚拓”とってるぞ! - litera_web(2016年7月9日)

http://lite-ra.com/2016/07/post-2403.html

自由民主党公式サイトより「学校教育における政治的中立性についての実態調査」のページ(差し替え)
https://ssl.jimin.jp/m/school_education_survey2016/

今朝、本サイトは、自民党のホームページに「学校教育における政治的中立性についての実態調査」というタイトルのページが設けられていることを記事にしたが、その後、新たな動きがあったため、続報をお届けしたい。
まず、このページで自民党は、《「子供たちを戦場に送るな」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいる》と書き、それを《特定のイデオロギー》と糾弾。しかも、そうした《不適切な事例》を通報させる“密告”のための入力フォームを設置していた。だが、ネット上でこの“密告フォーム”を問題視する声があがりはじめたために現在はこのページが削除された、と記事では伝えた。
しかし、本サイトが記事を配信した後、自民党はなんとも姑息な作戦に出た。このページをTwitter上で宣伝し、“密告”を呼びかけていた自民党文部科学部会長である木原稔衆院議員が、以下のようなツイートを行ったのだ。
〈【学校教育における政治的中立性についての実態調査】現在表示できない状態です。原因調査中のため恐れ入りますがしばらく経ってからご利用ください。申し訳ございません。〉(編集部註:このツイートも現在は削除)
そして張られていたリンクを踏むと、そこには昨晩、消えてしまったページが復活していた。
だが、そこに掲載されている文面は、昨晩ページが消えるまでに掲載されていた文面とは違っているのである。元の文章と、表現が差し替えられた新たな文章を以下に比較しよう。
【消される前の文章】
《教育現場の中には「教育の政治的中立はありえない」、あるいは「子供たちを戦場に送るな」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいることも事実です。》
【新たな文章】
《教育現場の中には「教育の政治的中立はありえない」、あるいは「安保関連法は廃止にすべき」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいることも事実です。》
つまり、木原議員は〈現在表示できない状態〉〈原因調査中〉などと弁明しているが、これはまったくの嘘。上記の通り、自民党は批判が集中していた「子供たちを戦場に送るな」という文言を「安保関連法は廃止にすべき」に差し替え、ページをつくり直したのだ。





上・削除改ざん前の文章/下・復活改ざん後の文章(自由民主党公式サイト「学校教育における政治的中立性についての実態調査」のページより。赤傍線はリテラ編集部による)


まったく姑息にも程があるが、そのうち自民党のシンパたちは「「子供たちを戦場に送るな」などとは書いていない!」と騒いで、本サイトの第一報を「デマ記事」認定するのだろうが、しかし消される前のページはすでに魚拓も取られている“事実”であることを、あらかじめ念押ししておきたい。
だいたい、「子供たちを戦場に送るな」を「安保関連法は廃止にすべき」と表現を差し替えただけでは、問題の本質は何も変わらない。戦争に反対したり、子どもを戦場に送り出す可能性がある法案に異議を唱えることは、現行憲法で保障された「表現の自由」であり、また、自民党が主張する《教育の政治的中立性》などに抵触するものではない。
しかし、木原議員は今朝、Twitterで〈「教師は中立性を保たないといけない」などと言った法的な根拠はあるのでしょうか〉と問われたことに対し、このように回答している。
〈・教育基本法 14条2
 ・義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法
 ・公職選挙法 137条 等が根拠となります。〉
たしかに、たとえば該当の教育基本法には《特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない》とある。だが、学校や教員が「子供たちを戦場に送るな」「安保関連法は廃止にすべき」と主張することは、これらが示す《政治的中立》に反する行為ではまったくない。戦争の可能性がある法案、憲法違反だという強い指摘もある法案の問題点を挙げることは党派的な議論ではないし、ましてや戦争に反対することを《特定のイデオロギー》と呼ぶことのほうが、よほどイデオロギッシュだろう。
そもそも、教育基本法は戦争の反省のもとにつくられたものである。もう二度と、教育によって子どもを戦場に送り出すような過ちは繰り返さない──。そうした決意を踏みにじって反対に「子供たちを戦場に送るな」と言わせないように監視すること、これこそが《政治的中立》に反する行為ではないのか。
というか、そもそも自民党と安倍政権は政治的中立なんて最初から考えていない。政治的中立の名の下に人権や平和を守れという教育を潰し、戦前の軍国教育を復活させたいだけなのだ。かけてもいいが、もし、教育勅語の完全復活を唱え、「国家のために命を投げ出せ」という学校や教師がいても、自民党は絶対にスルーするはずだ。
何度でも繰り返すが、「子供たちを戦場に送るな」というごく当然の主張さえ、自民党は《特定のイデオロギー》として監視対象にしようとしている。これは戦時体制と何ら変わらないものであり、「戦争反対」と口にすることさえ許さない態度をすでに自民党は露わにしているのだ。
……もうトチ狂っているとしか言葉が出てこないが、これが安倍政権の正体であり、まさに現在進行している現実なのである。
(編集部)