丸川環境相、被ばく上限「根拠なし」 野党「被災者の心を害する」- 東京新聞(2016年2月10日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016021002000124.html
http://megalodon.jp/2016-0210-0914-39/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016021002000124.html

丸川珠代環境相は九日の衆院予算委員会で、東京電力福島第一原発事故後に国が年間被ばく線量の除染の長期目標を一ミリシーベルト以下に定めたのは「何の根拠もない」と発言したことについて「誤解を与えたなら、言葉足らずだったことはおわびする」と陳謝した。民主党は批判を強め、国会審議で追及する。
丸川氏は七日、長野県松本市であった自民党若林健太参院議員の集会で講演した際に「『反放射能派』というと変だが、どれだけ下げても心配だという人は世の中にいる。そういう人たちが騒いだ中で何の科学的根拠もなく、時の環境相が一ミリシーベルトまで下げると急に言った」などと発言した。
予算委では民主党緒方林太郎氏が「放射能の問題に苦しむ被災地の人たちをやゆする表現で気持ちを著しく害している」と批判。丸川氏は「一ミリシーベルトに決めた数字の性質を十分に説明し切れていなかったのではないかという趣旨を申し上げた」と釈明した。
福島第一原発事故後、当時の民主党政権は国際放射線防護委員会(ICRP)が自然放射線などを除いた一般人の通常時の年間被ばく線量限度を一ミリシーベルトとした勧告に基づき、長期的な目標を一ミリシーベルトと決定した。ICRP原発事故が起きた場合には年間被ばく線量を二〇ミリシーベルトまで緩和することも認めている。丸川氏は「一ミリシーベルトというのを福島の皆さんが望んでおられる基準に合わせて考えていくことが非常に重要だ」と指摘。被災者が被ばく線量の緩和を希望しているとして、見直すべきだという考えを示した。
民主党細野豪志政調会長は記者会見で「『時の環境相』とは私のこと。ICRPの基準を参考に、随分議論したことを承知で発言しているのか。(丸川氏の講演の)中身を見てチェックしたい」と指摘。高木義明国対委員長は「国民の放射能への不安に配慮しながら決めた。そのことを全く踏まえていない発言は無責任だ」と述べた。 (後藤孝好)

参考サイト)
小出裕章さんに聞く>年間20ミリシーベルトは安全なのか?国際機関も加担する「社会的数値」とは - アジアプレス(2014年3月14日)

http://www.asiapress.org/apn/archives/2014/03/14122534.php

この日本という国では普通の人々は1年間に1ミリシーベルト以上の被曝をしてはいけないし、させてもいけないという法律がありました。それに対して、私のように放射線を取り扱いながら仕事をし、給料をもらっている人間は1年間に20ミリシーベルトまではいいだろうという法律があったのです。

では、なぜ1ミリシーベルトや20ミリシーベルトという数字が決まったかというと、それまでの被曝なら安全だから、ではないのです。被曝というのはどんなに微量でも危険があるということが現在の学問の到達点です。20ミリシーベルトは当然危険だけれども給料をもらっているのだから我慢をしなさい、といって決められたわけです。

1 ミリシーベルトにしても、危険がないわけではない。けれども、この日本で住むからにはその程度は我慢をしなさい、ということで決められていたのです。ですから、1ミリシーベルトも20ミリシーベルトも科学的に安全な基準でもなんでもなくて、いわば社会的に決められた値だったのです。

追加被ばく線量年間1ミリシーベルトの考え方(環境省
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=18437&hou_id=14327

※線量の換算について
追加被ばく線量年間1ミリシーベルト(mSv)を、一時間当たりに換算すると、毎時0.19マイクロシーベルト(μSv)と考えられます。(1日のうち屋外に8時間、屋内(遮へい効果(0.4 倍)のある木造家屋)に16 時間滞在するという生活パターンを仮定)