特定秘密提示要求を否決 参院の監視機能 疑問 - (2015年12月23日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201512/CK2015122302000128.html
http://megalodon.jp/2015-1224-0916-07/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201512/CK2015122302000128.html

参院情報監視審査会は二十二日、国会内で会合を開いた。民主党特定秘密保護法に基づいて二〇一四年に指定された特定秘密のうち二件の提示を政府に求めるよう主張したが、採決の結果、自民、公明両党の反対多数で否決された。提示の是非をめぐり採決されたのは初めて。今後も与党の反対で政府への提示要求が拒否されるようなら、国会の監視機能に疑問符が付く。
審査会の金子原二郎会長(自民)は否決の理由について「民主党は『実際の文書を見て確認したい』と主張した。だが、自民、公明両党が『提示を求める必要はない』と反対した」と記者団に説明した。審査会は自民、公明の与党と、民主、維新の党の野党二党で構成するが、維新も特定秘密の提示を求めた。
金子氏によると、民主党が提示を求めたのは国家安全保障会議(NSC)と警察庁の特定秘密一件ずつ。NSCに関しては四大臣会合の議論に関する内容。四大臣会合は他国を武力で守る集団的自衛権を行使するか決める組織だけに、特定秘密の指定状況について国会が厳しく監視する必要がある。警察庁については、警察が実施した安全保障に関する外国政府などとの情報協力業務に関するものだった。
秘密保護法は防衛や外交などの四分野で、情報漏えいが「国の安全保障に著しい支障を与える」と政府が判断すれば、特定秘密に指定できる。判断基準が曖昧のため、政府が思い通りに判断する余地があり、監視機関として衆参両院に審査会が設置された。
しかし、衆参両院とも与党議員が多数を占めるため、与党議員が政府の意向をくんで監視が甘くなるのでは、との指摘が出ていた。 (中根政人)