機密取り扱いの「適性評価」 防衛・外務省の職員ら25人拒否 - 東京新聞(2015年12月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201512/CK2015120402000128.html
http://megalodon.jp/2015-1204-0928-27/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201512/CK2015120402000128.html

特定秘密保護法に基づき、機密を扱う公務員らの身辺を調べる「適性評価」を防衛、外務両省の職員ら計二十五人が拒否したことが、共同通信の取材で分かった。十日に施行一年を迎える同法の適性評価で、拒否したケースが判明したのは初めて。
調査が詳細な個人情報に及ぶ適性評価をめぐっては、プライバシー侵害の懸念も指摘されている。拒否の理由は不明だが、公務員らの一部も抵抗感を抱いていることがうかがえる。
適性評価を拒否したり、評価の結果「不適格」になったりした職員らは特定秘密を扱えず、職場の配置転換や業務の変更を迫られる可能性がある。
内訳は防衛省が二十四人で、うち十六人は同省職員、八人は防衛産業従業員。外務省は職員が一人。
適性評価では、個人情報を警察当局など他の政府機関や自治体、医療機関に照会することも可能。特定秘密の指定権限を持つ二十行政機関に取材したところ、防衛、外務両省を含む十行政機関が、適性評価のために照会していることも分かり、幅広く情報収集している実態が浮かんだ。
適性評価の調査は(1)テロリズムとの関係(2)精神疾患の有無(3)飲酒の程度(4)経済的な状況(5)海外への渡航歴−といった本人に関する項目に加え、家族の生年月日や国籍など多岐にわたる。
行政機関は、特定秘密を扱う可能性がある職員らに適性評価の実施を通知。行政機関とともに業務をする防衛産業など民間企業の従業員も対象で、拒否する場合は「不同意書」を提出する仕組みになっている。
警察庁、防衛装備庁、法務省など九機関は取材に対し、不同意が「ゼロ件」と回答。厚生労働省など六機関が「適性評価の対象なし」とし、法制定を主導した内閣官房のほか総務省公安審査委員会の三機関は「集計していない」などとして回答しなかった。
政府は一日、適性評価の対象者が十一月末時点で九万七千五百六十人と発表。防衛省は九万二百二人(うち民間人五百七十六人)、外務省は千二百一人(同四十一人)だった。評価で不適格となったのは一人だった。