<教師といじめ>職員室の「雰囲気」次第 - 河北新報(2015年9月21日)

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201509/20150921_13007.html
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<人事評価で萎縮>
男子生徒の自殺を調査した第三者委員会は、生徒が通っていた中学校内の情報共有や連携の不十分さを指摘した。いじめの対応が担任ら一部教員にとどまり、学校を挙げての指導には結びつかなかった。
「情報共有が図られるかどうかは、職員室の雰囲気や人間関係が大きい」
学校の現状をこう話すのは仙台市内の中学校の男性教諭(59)。管理職の中には、いじめの情報を伝えても「担任の指導不足だ」と取り合おうとしない人もいるという。「人事評価を気にして、言うのをやめておこうと萎縮することはあるだろう」と語る。
教諭によると、同じ学年の教師間では情報交換を密にしても、学年が異なるとおろそかになる「学年セクト」も存在するという。
宮城県内の40代の女性講師は「報告しても無駄という雰囲気が強く、担任が1人で抱え込んでしまう」と憂う。いじめを認知したら学年主任に報告するルールが勤務先の中学校にはあるが「傷害や暴行など学校保険の対象となる事案でないと、校長や教頭には伝わらない。報告するようないじめがあれば(担任らは)翌年、高い確率で転勤になる」と話す。

<抱え込む担任も>
岩手県矢巾町では7月、いじめを受けていた中学2年の男子生徒(13)が自殺した。
同県の中学校に勤める女性教諭によると、男子生徒の自殺以降、いじめ対応について情報共有を心掛ける動きが広がっている。「なかなか言い出せない若手や、問題を抱えた生徒を任せられて多忙なベテランがおり、簡単なことではない。しっかり話ができる人間関係が重要だ」と風通しの良い職場づくりの大切さを指摘する。
宮城県内の60代の元小学校長も「全職員と保護者、教育委員会の情報共有が何より大切だ」と強調。「あるいじめ事案を担任が大したことないと判断しても、他の教師はそう思わない場合もある。担任が1人で抱え込んでしまうところに落とし穴がある」と訴える。
仙台市教委は今回の問題を受け、いじめに組織的な対応をするよう全市立学校に指示した。12歳の少年の悲劇を二度と繰り返さないためにも、情報共有を出発点にして学級や学年、立場の枠を超えた「学校力」の結集が求められている。