「反対」顧みぬ2カ月 違憲判断 世論高まる - 東京新聞(2015年7月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015071602000266.html
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安全保障関連法案が閣議決定されてから二カ月間、国会審議などで法案の問題点が次々と明らかになった。日本がどういう状況に置かれたら他国を武力で守る集団的自衛権を行使できるのか、政府は答弁の修正や撤回を繰り返し、自ら法案のあいまいさや政府の裁量の大きさを認めた。多くの憲法学者から「違憲立法」との批判を突き付けられ、混乱に拍車をかけた。
集団的自衛権行使の事例で政府の答弁が揺れたのは、中東・ホルムズ海峡での戦時の機雷掃海。政府が持ち出した理由は石油確保で、経済的な側面が強い。野党側から「どうして国民の生命に明白な危険がある状況になるのか」と繰り返し追及されたが、政府は国民が納得できるような答弁をできなかった。
機雷掃海などへの参加で日本がテロの標的になる可能性が高まる。安倍晋三首相は衆院特別委でこう追及された。
首相が質問した民主党辻元清美委員に対して「早く質問しろよ」と発言したのは、きちんと答弁できない自身のいら立ちに映った。国民リスクに対する政府の答弁は歯切れが悪く、説明を避けているようにみえた。
法案の焦点が「違憲論」へと移ったのは、六月四日の衆院憲法審査会だ。参考人として招かれた自民党推薦の長谷部恭男・早大教授が安保法案を「憲法違反」と指摘した。与党推薦の参考人が与党の考えに反する発言をするのは極めて異例で、安保法案が「違憲」と国民に印象づける結果となった。
首相が「まだ国民の理解が進んでいないのも事実だ」と認めているように、憲法審査会を境に安保法案に反対する動きが急速に広まる中で採決を迎える。 (木谷孝洋)