安保10法案を一本化 きょう与党合意、国会審議短縮狙う - 中日新聞(2015年5月11日)

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自民、公明両党は十一日、安全保障法制の条文について最終的に合意する。政府は十四日に閣議決定し、十五日に国会提出する予定。他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を含む十本を「平和安全法制整備法案」として一本化し、新法「国際平和支援法案」とともに同時審議する。憲法解釈変更にまで踏み込んで安保政策を大転換しながら、国会審議を大幅に短縮しようとしている。
国会で審議される法案は、一括法案と新法の計二本。一括法案は(1)他国を武力で守るため、海外で武力行使する集団的自衛権行使を可能にする「武力攻撃事態法改正」(2)日本の安全に重要な影響がある場合、地球規模で米軍などを支援できるようにする「周辺事態法改正」(3)国連主導以外の人道復興支援や治安維持活動への参加を可能にする「国連平和維持活動(PKO)協力法改正」−など十本をまとめた内容。
新法は日本の安全に関係のない国際紛争でも、他国軍の戦闘を支援するため、自衛隊を随時派遣できるようにする。
法案は憲法の平和主義を根本から変質させる法改正となる。しかも、法案の内容は海外での武力行使から人道復興支援まで大きく異なるため、本来なら個別に慎重な審議が必要。しかし、個別に審議していたら、時間がかかりすぎるため、与党は国会でまとめて審議する。これでは、範囲が広がり過ぎて、法案の問題点が十分、国民に知らされない可能性もある。
もともと政府・自民党は、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態への対処を昨年秋の臨時国会で先行させ、集団的自衛権行使容認などは今年の通常国会で処理する日程を描くなど、法案の性格ごとに審議する方針だった。しかし、今国会ですべて成立させるため、まとめて審議する方針に転換した。
安倍政権は昨年の通常国会でも、介護保険と医療制度の見直しに関して計十九本の法改正を一本化し、「国会軽視」と批判を受けた。
(中根政人)