<平和って>人のつながりが生む 「9条にノーベル平和賞を」と活動 鷹巣直美さん(38):神奈川-東京新聞(2015年1月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20150108/CK2015010802000138.html
http://megalodon.jp/2015-0108-0948-45/www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20150108/CK2015010802000138.html

若い世代は「平和」に無関心と言われることが多いが、鷹巣さんは違うと言う。「友人たちも『戦争は嫌だよね』と自然に口にする。これってすごいこと」と。海外では戦争が「正義」と同義語で語られることがある中、「戦争は嫌だ」という言葉が自然に出てくることは、名もない一般の人たちが七十年間、「間違いを繰り返すな」と言い続けてきてくれたおかげと考える。
 九条の条文を変えようとする人もいるが、結果として、九条を保持してきた日本国民はノーベル平和賞受賞に値すると思った。受賞すれば、反戦の理念を世界に伝えることもできる。大きな挑戦だった。「何事もまず自分で試し、一人でできないことは他人に勧めない」というインド独立の父ガンジーの言葉を思い出し、誰でも気軽に参加できることから始めようと、ネットで賛同の署名を集めることから始めた。
 昨年十月、受賞者の発表日。多数の報道陣が集まり、フラッシュライトに照らされた会見場で発表を見守った。受賞を逃した後、マイクを両手でしっかり握り締めた。「一歩でも二歩でも戦争がなくなるよう、世界中の人がそれぞれの立場で考え、平和を願う大きな力にしてもらいたい」。自分がやってきたことは大したことないのに、という思いが交錯した。「平和活動をやっているとは思っていない。自分が(戦争に加担する)共犯者にならないよう最低限のところで踏みとどまっているだけ」と。
 昨年、集団的自衛権の行使が容認され、特定秘密保護法が施行された。「人が人として大事にされないような空気を感じる。ギスギスし、とげとげしい」。肌感覚として受け止めた上で、こう言う。「軍事でつくる『平和』はもろく、ガラスの上で暮らすようなもの。本当の『平和』は人と人のつながりで生まれ、そこではしっかりと地に足を着けることができる」。九条の理念を広めるため、今年は活動の幅を広げるつもりだ。 (寺岡秀樹)