まさかの徴兵制-町村泰貴北大学教授ブログ(2014年8月12日)

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ちょっと懐かしい感のある枝野さんが5月に、「自衛隊員が何十人と亡くなることが起きた時、今のように自衛隊員が集まるか。集団的自衛権を積極行使すると徴兵制にいかざるを得ない」と発言したらしい。

これに対して安部首相は、「徴兵制につながるというとんちんかんな批判がある。徴兵制が憲法違反だということは私が再三、国会で答弁している」と述べた。

しかしこの安倍首相の発言には全く重みがない。憲法には徴兵制を禁ずる規定はなく、「徴兵制が憲法違反だ」というのは解釈にすぎないのだ。
そして、政府が再三明言し、強調してきた憲法解釈でも時の首相が変えたいと望んだら変えられてしまう、そのことをまざまざと示したのが「集団的自衛権の行使容認」という憲法解釈の変更であり、安部首相が今、何を言おうと、要は閣議決定で変更するといえば「徴兵制は憲法に違反しない」という解釈にいつでも変えられるということになる。

安倍内閣が行った集団的自衛権の行使容認という憲法解釈の変更は、つまり、内閣=行政府の憲法解釈の移ろいやすさを現実のものとして示し、その憲法解釈に対する信頼感を根底から失わせたわけである。
その当の安部首相が「徴兵制は憲法違反」だから安心してくださいと、どの口が言うのかということになる。