「わだつみ」悲劇の学徒兵 木村久夫 無実訴え「戦犯」処刑-東京新聞(2014年4月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/culture/culture_news/CK2014042902000214.html
http://megalodon.jp/2014-0512-0941-02/www.tokyo-np.co.jp/article/culture/culture_news/CK2014042902000214.html

木村は処刑には関与していなかったが、スパイ容疑者を棒で打つなどして死なせたとしてB級戦犯に問われた。木村は取り調べの段階では、逃亡後に自殺した一人らへの殴打を認め、陸軍参謀らから「住民を人間のように取り扱うのではなく、ぶって、急いで自白を引き出せ」と命じられていたことを明かした。しかしシンガポールの戦犯裁判では、上官から真相を話すことを禁じられ、あいまいな供述に終始した。

その結果、司令官と木村ら取り調べに関与した末端の兵五人だけが死刑を言い渡され、拷問を命じたり、裁判抜きで住民を死刑にしたりした参謀は無罪、中佐は懲役三年とされた。

木村は連合国軍の地区司令官に英文で真相を告発する文書を二度提出したが、認められなかった。信号弾は最後まで見つからず、スパイ事件はそもそも存在しなかった可能性がある。