不妊手術被害に「反省とおわび」 与党救済策が判明 旧優生保護法 - 東京新聞(2018年10月20日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201810/CK2018102002000139.html
https://megalodon.jp/2018-1020-1010-06/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201810/CK2018102002000139.html

優生保護法(一九四八〜九六年)下で障害者らに不妊手術が繰り返された問題で、自民、公明両党の合同ワーキングチーム(WT)が検討している救済策の概要が十九日、判明した。強制的に施術された被害者らが心身の苦痛を受けたとして「反省とおわび」を示し、一時金を支給。本人の「同意」に基づく手術も救済の対象とする。個人名入りの記録が残っていない場合も除外せず、審査機関を設けて被害を認定する。
救済策の実質的な取りまとめを担う与党WTの検討が具体化することで国による救済は大きく動きだす。野党が加わった超党派議員連盟も既に幅広い救済を図る方針を確認しており、来年の通常国会への関連法案提出、成立に前進した。
与党WTは二十五日に全国被害弁護団と東京都内で初めて面会し、当事者側の意見も踏まえて議論を本格化させる。年内に救済の基本方針をまとめる考えで、一時金の額などは今後詰める。
与党WT、超党派議連ともに、救済に合わせて何らかの謝罪の意を示す必要性は以前から認識していた。与党WTは、不妊手術により当事者が身体的・精神的な苦痛を受けたとして、関連法案に「反省とおわび」を盛り込むことも検討する。一時金は本人からの申請を基本とし、「見舞金」や「補償金」など支給名目をどうするかの議論を続ける。
旧優生法に基づく不妊手術は約二万五千件に上り、うち約八千五百件は同意に基づくとされる。ただ、実態としては任意ではなく強いられた事例も判明している。与党幹部は「同意手術の背景には、旧法による社会的風潮があった」との考えを示し、幅広く救済対象とする。厚生労働省が九月に発表した全国調査では、不妊手術を受けたことを示す個人名入りの記録が約三千人しか確認されなかった。

地方アイドルのトラブル 未成年の保護規定が必要 - 毎日新聞(2018年10月20日)

https://mainichi.jp/articles/20181020/ddm/005/070/040000c
http://archive.today/2018.10.20-011127/https://mainichi.jp/articles/20181020/ddm/005/070/040000c

松山市を拠点とするアイドルグループでリーダーを務めた16歳の少女が自殺し、遺族が損害賠償を求めた裁判が注目されている。自殺は、所属事務所による過酷な労働環境やパワハラが原因だったと訴えた。
遺族側は、脱退の意向を伝えた時にスタッフからLINE(ライン)で「次また寝ぼけた事言いだしたらマジでブン殴る」と言われ、学業より仕事を優先するよう強制されたと主張する。事務所側はパワハラなどについて否定している。
少女が事務所と結んだ契約書には、さまざまな禁止規定がある。例えば、正当な理由なく指定された活動を欠席した場合はその月の報酬の50%、遅刻は5000円の罰金が科せられる、などだ。
なかでも目を引くのは、事務所の内部情報を「許可なく家族を含む他者に開示してはならない」という規定だ。情報を漏らせば50万〜100万円の罰金という。
未成年が仕事上の悩みを信頼して相談する相手はまず親だろう。それすら禁じる内容である。あまりに非常識と言わざるを得ない。
にもかかわらず、未成年相手にこうした契約が結ばれる背景には芸能界特有の契約形態がある。アイドルが事務所に専属して活動し、事務所が活動を支援する業務委託方式だ。
企業が従業員を雇う際に結ぶ労使の義務などを定めた雇用契約と異なり、労働者を保護する労働基準法など労働法規が原則、適用されない。
しかし、遺族側によると、イベントがある日は1日平均10時間以上の拘束があったという。未成年に対する過酷な労働実態をどう認定するかが、大きな争点となる。
全国各地のアイドルグループは、AKB48グループの成功もあり、批評家によれば1000組以上あるという。ビジネスの広がりを物語る。
それに伴い、アイドルと事務所を巡るトラブルも増えている。東京のグループや別のアイドルらが賃金未払いやセクハラ被害などを訴えて裁判になり、社会問題化した。
心身が成熟していない未成年に対しては、健康への配慮や精神的な支援をする環境整備が必要だ。現状を野放しにせず、必要なら国が業界団体と協議し、未成年を保護する規定の策定に乗り出すときである。