「少年法の適用年齢引き下げは不要」成人18歳で日弁連が警鐘 - 週刊金曜日(2018年7月6日)

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180706-00010000-kinyobi-soci
http://archive.today/2018.07.06-024747/https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180706-00010000-kinyobi-soci

成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げるとともに、女性が結婚できる年齢を現行の「16歳以上」から男性と同じ「18歳以上」に引き上げる改正民法が6月13日、審議不十分なまま成立した。2022年4月1日施行となる。
成人年齢をめぐっては、法制審議会(法相の諮問機関)が09年に「引き下げが適当」と答申。15年に成立した選挙権年齢を「18歳以上」とする改正公職選挙法付則が、少年法適用年齢(現行20歳未満)の引き下げについても、「検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」としており、法制審は今秋ごろから本格審議に入る予定だ。
今月12日、日本弁護士連合会が衆議院第二議員会館で開いた「少年法の適用年齢引き下げに反対する院内学習会」には与野党議員ら20人を含む150人超が参加。「民法成人年齢引き下げの議論と少年法の適用年齢引き下げの議論は、性質がまったく異なる」などと訴えた。
基調報告した羽生香織上智大学教授は「立法趣旨や立法目的が異なる民法少年法を、“国法上の統一”や“分かりやすさ”などの理由でリンクさせるのは危険。立ち直り、再犯防止の観点から18歳、19歳の少年少女も保護対象として考え、『成長発達の支援・健全育成を目的とする教育的処遇』として行なわれている現行の保護処分が、『責任』で判断する制度にシフトすることになる」と指摘した。
主催者を代表して報告した金矢拓弁護士(日弁連子どもの権利委員会、少年法裁判員対策チーム座長)は「悪いことをした子どもの社会復帰・再犯防止に少年法の保護処分機能が果たしている機能は大きい。適用年齢が引き下がれば、重い事件での家庭裁判所調査官による綿密な原因分析や子どもへの働きかけが消滅する。軽い事件であっても機能しなくなる。問題に応じた対応が選べないきわめて硬直的な制度に変質する」と警鐘を鳴らした。

(小宮純一・ジャーナリスト、2018年6月22日号)

「加計学園」運営2大学も支援選定されていた - 日刊スポーツ(2018年7月6日)

https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201807060000220.html
http://archive.today/2018.07.06-010539/https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201807060000220.html

文部科学省の私立大支援事業に関連し、同省の前局長が息子の裏口入学への関与をめぐり逮捕された受託収賄事件で、疑惑の舞台となった東京医科大(東京都新宿区)の臼井正彦理事長(77)と鈴木衛学長(69)が不正に関わった疑いがあることが5日、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部は、臼井理事長が前局長への依頼など不正を主導したとみており、大学の組織ぐるみの可能性が出てきた。一方、加計学園系列の2大学が同じ支援事業の対象になっていたことが判明。野党は、選定の背景が不透明と追及を始めた。
東京医科大の事業が選定された「私立大学研究ブランディング事業」の16年度分で、獣医学部新設問題が問われている「加計学園」(岡山市)が運営する千葉科学大と岡山理科大が選ばれていた。岡山理科大の事業は「恐竜研究の国際的な拠点形成」で、千葉科学大は「『フィッシュ・ファクトリー』システムの開発」などが対象。思わぬ形で加計学園の名が浮上した。
文科省によると、対象校の選定はまず、各大学の提出書類を複数の専門家が審査して点数化。それを基に大学学長らが委員を務める委員会で決まるというが、加計問題を追及する野党は国会内で開いたヒアリングで、同事業での大学選定までの経緯に「お手盛りやお友達の利権が入り込む余地があるのではないか」と指摘。東京医科大の問題で佐野容疑者が、自ら選定に「後押し」したと一部で報じられたこともあり、“口利き”が通じた疑いがあるとして、大学が事業に選ばれる過程の詳細な情報公開を求めたが、文科省は捜査中を理由に説明を避けた。
大学選定の会議は非公表だが、文科省担当者は「議事録は残していない」と述べた。選定のプロセスが明確にならない限り、加計系2大学の選定も含めて、疑惑が深まりそうだ。

新たな安倍案件 文科省受託収賄事件に加計学園が2校 - 田中龍作ジャーナル(2018年7月5日)

http://tanakaryusaku.jp/2018/07/00018458

受託収賄で特捜部に逮捕された文科省の局長ばかりに焦点が当てられる「私立大学研究ブランディング事業」。
競争率5倍で79億円(平成29年度)もの国費を投入して行われる援助事業なのだが、加計学園が2校(千葉科学大学岡山理科大学)も選ばれていることが、きょうあった野党合同ヒアリングで明らかになった。1学校法人で2大学選ばれたのは加計学園のみ。
援助金額は2校合わせて約8千万円(7,973万円/初年度=平成28年度)。文科省の説明によると1校あたり2〜3千万円程度が目安。加計学園に対する優遇は明らかだ。ちなみに東京医科大学は3,500万円(平成29年度)。
きょうのヒアリングで文科省加計学園への援助金について明らかにしたのは、初年度(平成28年度)のみだった。平成29年度と30年度はいくら注ぎ込まれたのか。援助期間は5年だ。加計学園への援助は来年度も再来年度も続く。
選考過程も不透明である。山井和則議員の追及に文科省の児玉大輔・高等教育局視学官は「選考過程の話なのでどこまでお答えできるか・・・」とウヤムヤにした。議事録についても「残していない」と答えた。
選考は申請書を点数化して決めるのだが、文科省は点数の決め方についても明らかにしなかった。点数順ばかりでなく、委員会の合議による部分もあるという。裁量が入る余地を残したため、問題が起きた。
国費を投入する案件で議事録を残していないはずがない。安倍案件になるとすべてが闇の中となる。
田中の近くにいたクラブ詰めの記者は「山井さんの気持ちは分かるけど、ここは加計(加計問題・野党合同ヒアリング)じゃない。加計でやってくれないと・・・」と愚痴った。
本質は加計と同じ、安倍友への税金垂れ流しだ。だが、記者クラブメディアは官邸の目論見通り、東京医科大学と佐野官房長(当時)の贈収賄で行きたいのだろう。

新聞記者たちがあっさり騙される安倍首相「信号無視話法」 - NEWSポストセブン(2018年7月6日)

https://www.news-postseven.com/archives/20180706_711457.html

国会で答弁するときの安倍晋三・首相の姿勢は支持率に連動する。モリカケ問題に国民の批判が高まり支持率が急落すると、腰を低くして「丁寧に説明する努力を積み重ねたい」「批判は真摯に受け止める」と語り、支持率が回復に向かうや、胸を張り「政府が扱う森羅万象を全て私が説明できるわけではない」と言ってのける。
だが、共通するのは、いずれにしても相手の質問にまともに答える気がないということだ。そうした安倍首相の答弁スタイルを「信号無視話法」と名づけたのは都内在住の会社員・犬飼淳氏である。
「もともと政治には興味がなかったが、国会で1年以上にわたって騒いでいるモリカケ問題では、非常におかしなことが起きているんだろうと感じていました。しかし、テレビのニュースでは問題の本質が見えてこない。新聞は詳しいが、やはりわかりにくい。そこで自分なりにまず安倍首相の国会での説明を視覚化してみようと考えたんです」
犬飼氏は1年半ぶりに開かれた5月30日の党首討論から、首相が質問にまともに回答した部分を「青」、全く聞かれていないことを答えたり、論点のすり替えで誤魔化した部分を「赤」、なぜか質問内容を繰り返したり、解説した部分を「黄」と“信号機”のように色分けしてみた。するといきなり問題の本質が見えてきた。
「首相夫人が公務員を使って、財務省に(森友学園への)優遇措置を働きかけるのはいいことか」などと質問した枝野幸男立憲民主党代表への答弁では、首相は枝野氏の持ち時間19分のうち12分も喋り続けたが、犬飼氏が文字数を計算すると「青」答弁はわずか4%、しかも「政府はコメントする立場にはない」と、内容的にはゼロ回答だった。
志位和夫日本共産党委員長の「モリカケ問題で文書の改竄、隠蔽、廃棄、虚偽答弁という悪質な行為が起きた理由をどう考えるか」という質問に対しては、なんと「青」答弁がゼロという結果になった。
6月27日に行なわれた2回目の党首討論でも、首相は志位氏の「加計学園が総理の名前を使って巨額の補助金を掠め取ったのではないか」という質問に、約6分間も「赤」「黄」答弁を繰り返した挙げ句、「私はあずかり知らない」とゼロ回答だった。

◆説明責任? 何それ?

新聞記者と同じく追及する側の野党党首の実力不足もあるにせよ、この「黄」「赤」ばかり点灯させる信号こそ、真相解明という“車”が立ち往生し、1年以上も国会で堂々めぐりの議論が続いている原因なのだ。
「この視覚化で再認識したのは安倍首相がたいへん不誠実な答弁を続けているということです。メディアは今の政治についてもっとわかりやすく報じてほしい」(犬飼氏)
新聞各紙はさすがに30日の党首討論について、「安倍論法もうんざりだ」(朝日)、「政策を競う場として活用せよ」(読売)、「もっと実のある中身に」(日経)と翌31日付の社説で注文を付けているが、“自民党支持者は新聞を読んでいない”とバカにしているから何と言われても響かない。
そればかりか、6月19日、初めて記者会見に応じた首相の「腹心の友」加計孝太郎・加計学園理事長まで、記者の質問に議論のすり替えや「記憶も記録もない」という首相と同じ「信号無視話法」を駆使し、わずか25分で一方的に打ち切った。
安倍首相を筆頭に、佐川宣寿・前国税庁長官、柳瀬唯夫・元総理秘書官、そして加計理事長と“安倍一味”に共通する態度からは、これからこの国の政治腐敗がどれだけ広がろうと、「総理の友人ならおかまいなしで、国民への説明責任もいらない」という信号無視の暴走政治が始まることを示唆している。
安倍首相は今国会2回目の党首討論でついにこんな言葉まで繰り出した。
「(党首討論の)歴史的な使命が終わってしまった」
信号無視どころか、信号機を壊し始めたのだ。そして政治の暴走は止まらなくなる。

週刊ポスト2018年7月13日号

改憲4項目 自民、今国会提示を断念 衆院憲法審、野党が反発 - 東京新聞(2018年7月6日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201807/CK2018070602000127.html
https://megalodon.jp/2018-0706-0906-52/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201807/CK2018070602000127.html

自民党自衛隊明記などの改憲四項目について、今国会で目指した各党への提示を事実上断念した。衆参両院の憲法審査会で説明し、政党間協議を呼びかけたい考えだったが、野党が受け入れなかった。安倍晋三首相は依然、年内の改憲案発議に意欲を示しているが、森友・加計(かけ)学園問題などを巡って与野党の対立は深まっており、見通しは立っていない。
衆院憲法審は五日、改憲手続きを定める国民投票法改正案の審議を始め、共同提案者の一人で自民党細田博之元幹事長による趣旨説明を聴取した。開会に先立つ幹事会で、与党は十二日に法案の質疑を行う日程を提案したが、野党が拒否した。
改正案は「共通投票所」の導入など投票環境向上が目的だが、会期末が二十二日に迫っていることから、採決は秋の臨時国会以降に持ち越される方向だ。
与党筆頭幹事で自民党中谷元・元防衛相は記者団に「それぞれの政党が意見を述べるという当たり前のことを(野党に)要求しているのに、実現していない」と語り、改憲四項目を提示するための審査会開催が困難になったという認識を表明。「憲法改正は国民の権利だ。議論させないというのは、あるべき姿ではない」と、野党を批判した。
自民党が三月、党内の異論を押し切って改憲四項目の条文案をまとめたのは、年内に発議までこぎ着けたい首相の意向を踏まえ、改憲原案作成に向けた各党との協議を速やかに始めるためだった。改憲論議の環境整備を狙って、野党の賛同を得やすい国民投票法改正案の審議を先行させたが、相次ぐ政権不祥事で国会は空転し、法案提出が遅れた。野党の反対で憲法審開催もままならず、想定した段取り通りには進まなかった。 (生島章弘)

<金口木舌>文字通り、沖縄戦後史を駆け抜け・・・ - 琉球新報(2018年7月6日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-753911.html
http://archive.today/2018.07.06-000655/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-753911.html

文字通り、沖縄戦後史を駆け抜けた人だった。「私の半生をたどれば、沖縄の戦後史と重なる」という本人の弁は、大げさではない。時代を揺さぶる大衆運動を引っ張った福地曠昭(ひろあき)さんがこの世を去った

▼さまざまな闘いの中心にいた。北緯27度線の洋上を舞台とした海上集会、万余の県民が立法院棟に結集した教公二法闘争。後に行政主席・県知事となる屋良朝苗さんに寄り添い、悲喜を共にした
▼暴漢に右足を刺されたこともある。そんな出来事を振り返る時の語り口は穏やかだった。痛みが残る右足をかばうためか、左足の靴底の減り方が早い。そう話す福地さんのいたずらっぽい笑顔が忘れ難い
▼険しい顔も見た。1999年、「日の丸・君が代」法制化への賛否が渦巻く中で、沖縄教職員会が復帰前に取り組んだ日の丸掲揚運動がやり玉に挙がった。そのことを問うと「私たちはきちんと総括できていない」と苦しい言葉が返ってきた
▼「農兵隊」「産婆さん」など沖縄戦や民衆史に関する多くの著書を残した。沖縄を描く福地さんの視線は庶民、特に虐げられる者へと注がれた。それは闘いの基本姿勢でもあったろう
▼また一人、「復帰男」が逝った。しかし、「復帰は遠くなりにけり」と嘆くわけにはいかない。改めて「復帰の原点」を問い直す時である。晩年の福地さんもそう思い続けていたに違いない。