(政界地獄耳)安倍政権の「ご飯論法」で失うモノ - 日刊スポーツ(2018年5月31日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201805310000262.html
http://archive.today/2018.05.31-005943/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201805310000262.html

★政界では今、ご飯論法が話題だ。労働問題に詳しい法大教授・上西充子が「朝ご飯を食べましたか」と質問された場合、パンを食べていても、あたかも「ご飯(白米)」について問われたかのように論点をずらし、「食べていない」と強弁する論法だ。うそではないがごまかしてすり替えて論点をぼかし議論をかみ合わせないようにする。この手法を取り入れて官僚の政府答弁にまで浸透させたのは安倍政権だ。
★副総理兼財務相麻生太郎森友学園での公文書改ざんは「単に答弁に合わせて300カ所以上書き換えただけ、悪質なものではない」と言いだした。趣旨が変わっていないから改ざんではなく書き換えだという論法。それなら飲食の領収書の金額を書き換えたが飲食した事実、つまり趣旨は変わっていないから金額の書き換えぐらいは悪質ではないということになる。来年の確定申告も国税庁職員は大変だろうと同情する。
★政界関係者が言う。「すり替えてかわし、ウソをついていないとか、聞かれたことに答えただけとの閣僚や官僚の答弁を国民がどう聞いているかということだ。原発問題を引き合いに出すとわかりやすい。技術者たちは原発はコントロールできる技術で危険はないという。その発言にウソはないだろう。だがそれまでの説明にごまかしやすり替え、隠匿があれば、技術は信用されても原発を運用している人たちに信頼がないから批判がくすぶり続ける。今の政権はこれと同じだ。正面突破は可能だろうがずっと終わらず言われ続け国民は政権を信用しなくなる」。
★29日にテレビで加計学園問題の国会審議をめぐり「安倍さん自体がうみなんだろ」と発言した俳優・中尾彬に賛否があるという。その中には「中尾彬って何様なの」という声もあるという。答えは簡単だ。れっきとした国民様だが問題か。国民からの信用、信頼は内閣支持率ではない。国民の目だ。お忘れなく。(K)※敬称略

野党追及 論点すり替える首相答弁は… 「ご飯論法」 - 東京新聞(2018年5月29日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20180529#p2
モリカケ問題 政府答弁は論点のすり替え? ネットで話題「ご飯論法」 - 毎日新聞(2018年5月27日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20180529#p11

「安倍さん自体が膿なんだろ?」 中尾彬発言にネット「さすが」「何様?」 - jcast_news(2018年5月29日)
https://www.j-cast.com/2018/05/29329871.html

俳優の中尾彬さん(75)が2018年5月29日放送の情報番組「グッド!モーニング」(テレビ朝日系)で、加計学園問題の国会審議をめぐり「安倍さん自体が膿なんだろ」と安倍晋三首相を批判した。
首相はかねてから森友・加計学園問題などで「膿を出し切っていく」と自ら発言しており、これを皮肉った形だ。中尾さんの発言は、ツイッターで賛否を呼ぶこととなった。
安倍首相「私は常に平然としています」
「総理の言っている反論は全部『言っていません』『やっていません』『かかわっていません』。まったく反証になっていません」(立憲民主党福山哲郎参院議員)
「これは今、委員が作られたストーリーなんだろうと」(安倍首相)
「ストーリーじゃないよ!」(福山氏)
5月28日の参院予算委員会で、加計学園獣医学部新設をめぐる集中審議がまたも紛糾した。総理はなぜ、愛媛県にウソの説明をした学園側に怒らないのか――。野党議員から、そんな疑問の声が相次いだのだ。
愛媛県は21日、加計学園から「3年前の2月25日に(編注:加計孝太郎)理事長が安倍総理と面談した」などとする報告を受けていたと公表した。安倍首相は22日「ご指摘の日に会ったことはない」と否定した。
加計学園はこれを受け、26日に「当時の担当者が実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出した」と謝罪するファクスをマスコミに送付。首相は28日の審議で、改めて15年2月25日に加計理事長と「会っていません」と否定した。
翌29日放送の「グッド!モーニング」では、「野党からは名前を勝手に使われた形の総理が何も反応しないのはおかしいと疑問の声があがりました」とナレーションで説明。次のように具体的な論戦の模様を伝えた。
たとえば、共産党小池晃書記局長は「総理がかんかんに怒らなければいけないはずなんですよ。加計の言っていることが真実ではなくて総理自らをかばうものだということをご存じだから平然としているのじゃないですか」と追及。首相はこれに、

「私は常に平然としています。加計学園のコメントによれば、加計理事長ではなく当時の担当者が実際にはなかった面会を引き合いに出し、県と市に誤った情報を与えてしまったように思うとのこと。それ以上私にはコメントのしようがない」

と答弁した。
「膿を出し切ったとはとてもならない」
こうした集中審議の模様に、番組では岸博幸・慶大大学院教授と中尾さんの2人がそれぞれコメント。岸氏は「安倍総理は加計・森友について膿をすべて出し切ると以前おっしゃった。その心がけは良かったと思う」とした上で、「言っている内容は安っぽい表現ばかりで、これで膿を出し切ったとはとてもならないと感じざるを得ない」と発言した。
一方、中尾さんはこれを受け「私は膿を出し切ったというけど、安倍さん自体が膿なんだろ?というふうに私はとっていますけどね」と持論を展開。さらに先の国会答弁を指してか、「安倍さん怒れないと言ってたでしょ。それは怒れないはずですよ。自分で書いたものだもん」とも発言した。
中尾さんの強烈な物言いに、ツイッターでは「その通りです!中尾彬さん」「中尾彬って何様なの?」「さすが(笑)」「その証拠は?」と賛否両論が飛び交っている。

司法取引、冤罪リスク 協力見返りに処分軽減 - 東京新聞(2018年5月31日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201805/CK2018053102000129.html
https://megalodon.jp/2018-0531-0916-17/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201805/CK2018053102000129.html


日本版司法取引の運用が六月一日から始まる。他人の犯罪を供述することで、自らの罪の起訴見送りや軽い求刑など見返りを得られる制度だ。捜査機関にとっては事件の真相解明に強力な武器となる一方、無実の人を巻き込む冤罪(えんざい)の危険性をはらむ。 (岡本太)

■ 警戒感
突然逮捕され、連日の取り調べ。このままでは起訴され、有罪になる。そんな時「主犯の存在を明らかにすれば、不起訴にできる」と言われたら…。
「目の前の苦しさから逃れたい、楽になりたいと、他人を巻き込む虚偽供述をする可能性は十分ある」
制度の運用開始を直前に控えた今月二十一日、日弁連で会員向けに制度を解説している鈴木一郎弁護士は語気を強めた。
日本では初の試みとなる司法取引は、弁護士にとっても未知の領域。翌二十二日には日弁連で実務研修が行われ、全国の弁護士会にライブ中継された。
「司法取引は、『仲間を売る』ことで成立する。裏切らせようと検察はいろいろと仕掛けてくるだろう」。参加した弁護士の一人は、警戒感をあらわにした。

■ 先取り
鈴木弁護士が「司法取引の先取り、テストケースだった」と指摘する事件がある。東京地検特捜部と公正取引委員会が今年三月に立件したリニア中央新幹線工事を巡る入札談合事件だ。
事件の焦点はゼネコン四社による事前の会合が、受注調整に該当するのかどうか。立件には「自供」が不可欠だった。特捜部は否認を貫いた二社の担当者を起訴。一方で容疑を認め捜査に協力した二社の担当者は起訴を見送った。検察は「犯行の役割などを総合的に考慮した」と説明するが、供述の内容によって処分に大きく差をつける捜査手法は、検察のストーリーに沿った虚偽の自白を招きかねないと批判が上がった。

■ 信用性
司法取引が導入されると、リニア談合と同じような捜査手法が制度的に認められることになる。容疑者が司法取引を条件に黒幕の存在を明かすことや、検察が「起訴の見送り」を約束して共犯者に関する供述を求める例などが想定される。
ただ元裁判官の森炎(もりほのお)弁護士は「不起訴などを約束して得た供述をどこまで信用できるのか、見極めは難しい」と指摘する。取引の協議は録音録画(可視化)の対象外で、後から供述の経緯を検証するのは困難だ。
協議には弁護人の関与が義務付けられているが、参加するのは他人の犯罪を供述する容疑者か被告の弁護人だけで、犯罪を告発される側の弁護人は加わらない。虚偽供述に科せられる懲役五年以下の罰則についても、抑止効果にならないとの指摘は根強い。
森弁護士は「犯行の指示や共謀は、今までも証拠関係が十分でないのに、認定されるケースがあった。司法取引の供述が加わると一層不安定になり、冤罪のリスクが高まる」と話す。

◆日本版司法取引はニセ電話詐欺も対象
6月1日施行の改正刑事訴訟法で導入される日本版司法取引では、容疑者や被告が他人の犯罪について重要な情報や証拠を持っている場合、軽い刑事処分とすることを条件に、検察官か検察官が認めた警察官と取引することが可能になる。検察官らから取引を持ち掛けることもある。
まずは協議が行われ、検察官らは起訴の見送りや取り消し、軽い求刑などの見返りを提示。容疑者や被告は、この段階で、情報や証拠の中身を明かすことを求められる。両者で合意すれば取引は成立。処分を軽くしてもらうため、うその供述をすると、懲役5年以下の罰則が科せられる。
対象となるのは主に贈収賄や脱税、横領、談合などの財政経済犯罪、ニセ電話詐欺や薬物・銃器犯罪など。殺人や傷害、性犯罪などは対象外となる。米国や英国では、本人が自分の罪について認めるだけでも刑が軽減されるが、日本版では認められない。

幼児教育・保育の無償化 質量とも受け皿の拡充を - 毎日新聞(2018年5月31日)

https://mainichi.jp/articles/20180531/ddm/005/070/033000c
http://archive.today/2018.05.31-001404/https://mainichi.jp/articles/20180531/ddm/005/070/033000c

幼児教育・保育の無償化について、厚生労働省の検討会が認可外の保育施設へも補助の対象を広げる案を固めた。幼い子どものいる家庭には朗報だが、課題も多い。
無償化は、昨年の総選挙で安倍晋三首相が唐突に公約に掲げ、消費税増税時に借金の穴埋めに充てるはずの財源を回すことにしたものだ。
当初は認可保育所や幼稚園、認定こども園だけ無償とする方針だったが、認可外施設の利用者の反対が強く、その後も検討が続けられた。制度設計が不十分なまま見切り発車したことが混乱を生んだと言える。
認可施設を希望しても入れず、やむを得ず認可外施設を利用している人は多い。病児保育や小規模保育施設を利用している人も増えている。子どもの特性や親の事情に合わせた多様な保育サービスの広がりを考えれば、認可外も無償化の対象とするのは当然である。
ただ、親の所得に応じた負担軽減は現在も実施されている。保育サービスの利用者全員を無償にするのは、経済的に余裕のある人を優遇することに他ならない。
保育所・保育士の不足も深刻だ。政府は待機児童の解消に努めてきたが、それによって潜在的なニーズを掘り起こす結果をもたらした。無償化で新たな利用者が増え、さらに受け皿不足を招く可能性もある。
内閣府の調査では2017年に保育施設などで起きた全治30日以上の子どもの事故は880件で、前年比1・5倍にも上った。無償化より保育施設の安全や質の改善を求める人は多い。政策の優先順位は間違っていないだろうか。
それでも安倍政権が幼児教育無償化を重視するのは、将来を担う世代の教育を充実させ、誰もがチャンスを得られる「1億総活躍社会」を実現しようと考えているからだ。
幼児教育を十分に受けた子どもは将来、大学進学率や所得が高くなるという海外の研究結果もある。
しかし、その前提として乳幼児期に親や周囲の人から愛情を受け、子どもの中に「愛着形成」を図ることが必要だ。子どもの自我が育つための土台を固めなければ、幼児教育は根付かないだろう。無償化とともに、子育て世帯の貧困や孤立の改善にも取り組まなければならない。

(萩生田・加藤氏発言)古い価値観が根下ろす - 沖縄タイムズ(2018年5月31日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/260121
https://megalodon.jp/2018-0531-0915-28/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/260121

3歳児神話」につながる女性観や「産めよ増やせよ」の復古調的思想が、深く根を下ろしているということだろう。
自民党萩生田光一幹事長代行が、宮崎市で行った講演で、乳幼児の養育を巡って持論を展開した。
「『男女共同参画』『男も育児』だとか格好いいことを言っても、子どもには迷惑な話。お母さんと一緒にいられるような環境が必要」
「統計は取れないが、どう考えてもママがいいに決まっている。0歳からパパがいいと言うのはちょっと変わっている」
子育て環境の整備を説きながら、その実、3歳までは母親が子育てに専念すべきという3歳児神話の考えがポロリと出た発言だ。
神話に合理的根拠はない。共働きが主流となる中、母親による育児が前提の子育ては時代に合わない。父子家庭への配慮も欠ける。
萩生田氏が言う「ママがいい」は、一緒にいて世話をしてくれる母親への執着のようなもので、それは子育ての負担が母親に偏っていることの裏返しでもある。
「迷惑」発言にすぐさま反応したのは、子育てに向き合うパパたちだ。抗議の意思を示そうとハッシュタグを付けて、ツイッターに子育てに奮闘する写真を次々と投稿している。
男性の育休取得率が5%程度と低迷しているのを萩生田氏はどう見ているのか。男性の働き方を見直して、パパも当たり前に育児参加できるようにしていくことが政治の仕事である。 

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女性の人権を無視した失言で開き直ったのは、自民党加藤寛治衆院議員。
加藤氏は今月10日の会合で、結婚披露宴に出席した際に「必ず新郎新婦に3人以上の子どもを産み育てていただきたい」と呼び掛けているとの発言をした。子どもがいなければ「人さまの子どもの税金で老人ホームに行く」との言い方もしている。
野党だけでなく与党からも不快だとの声が上がり、謝罪、撤回のコメントを発表したが、27日の党長崎県連定期大会で「批判もあったが、全国から賛同、激励が多数寄せられた」と語ったのだ。
それでは先の撤回は何だったのか。政治家としての適格性を疑う。
子どもを持つかどうかは個人の生き方の問題である。国がとやかく言うことではない。

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振り返れば、第1次安倍内閣柳沢伯夫厚生労働相が女性を「産む機械」に例え、激しい批判を浴びた。菅義偉官房長官が人気俳優の結婚に絡め、「ママさんたちが『一緒に子どもを産みたい』という形で国家に貢献してくれれば」と話し、波紋を広げたことは記憶に新しい。
出産や育児を巡る自民党議員の発言には失望させられるが、根っこは一緒だ。
国の少子化対策の成果が一向にあがらないことと、古い家族観・女性観は無関係ではない。
認識不足を猛省してもらいたい。