内閣支持率31%、第2次政権以降で最低 朝日世論調査 - 朝日新聞(2018年3月18日)

https://www.asahi.com/articles/ASL3L4JWZL3LUZPS005.html
http://archive.today/2018.03.18-130748/https://www.asahi.com/articles/ASL3L4JWZL3LUZPS005.html


朝日新聞社が17、18両日に実施した全国世論調査(電話)によると、安倍内閣の支持率は31%で、前回調査(2月17、18日)の44%から急落、第2次安倍内閣の発足以降で最低となった。不支持率は48%(前回37%)だった。学校法人・森友学園との国有地取引に関する決裁文書の改ざんについて、安倍晋三首相にどの程度責任があると思うかを尋ねると、「大いに」と「ある程度」を合わせ、「責任がある」は82%に上った。
第2次安倍内閣以降の支持率の推移をみると、昨年7月調査の33%がこれまでの最低だった。このときは学校法人・加計(かけ)学園の獣医学部の新設をめぐる問題などがクローズアップされ、自民党が歴史的惨敗を喫した東京都議選後の時期にあたる。
決裁文書の改ざんをめぐる安倍首相の責任の有無・程度については、「大いに責任がある」42%が最も多く、「ある程度責任がある」40%▽「あまり責任はない」10%▽「まったく責任はない」4%と続いた。
安倍首相は14日の参院予算委員会で「書き換え前の文書を見ても、私や私の妻が関わっていないということは明らか」と答弁。この発言に「納得できない」は72%で、「納得できる」は17%。内閣支持層でも「納得できない」46%が「納得できる」41%を上回った。
この問題の解明のため、安倍首相の妻昭恵氏が国会で説明する必要があるかどうかについては、「必要がある」が65%で、前回2月調査の57%から増加。「必要はない」は27%(前回調査33%)だった。

麻生太郎財務相が今回の責任をとって大臣を辞任すべきかについては、「辞任すべきだ」50%、「辞任する必要はない」は36%。麻生氏が改ざんについて「理財局の一部の職員によって行われた。最終責任者は佐川(宣寿(のぶひさ)・前理財局長)だ」と説明していることに「納得できない」は75%に上り、「納得できる」は13%にとどまった。麻生氏の財務相辞任は「必要ない」と答えた層でも、麻生氏の説明に「納得できない」は56%で、「納得できる」の28%を上回った。
今回の改ざんはどの程度問題だと思うか聞くと、最多の63%が「大いに問題だ」とし、次いで「ある程度問題だ」23%▽「あまり問題ではない」9%▽「まったく問題ではない」3%。内閣支持層でも、36%が「大いに問題」、36%が「ある程度問題」とした。

内閣支持率30.3%第二次安倍政権で最低 - 日テレNEWS24(2018年3月18日)

http://www.news24.jp/articles/2018/03/18/04388319.html
http://archive.today/2018.03.18-115733/https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20180318-00000028-nnn-pol

NNNがこの週末に行った世論調査によると、安倍内閣の支持率は30.3%と、第二次安倍政権発足後、5年あまりで最低となった。
安倍内閣を支持すると答えた人は前の月より13.7ポイント急落して30.3%、支持しないは53%だった。
森友学園に関わる決裁文書の改ざんがなぜ行われたと思うかについては、「政治家から何らかの働きかけがあった」が40.1%、「政治家を忖度(そんたく)した」が23.6%などとなっている。
また、麻生財務相が辞任する必要があるかという問いには、「必要があると思う」が60.8%に上った。安倍首相の昭恵夫人の証人喚問については「必要だと思う」と答えた人が65.2%に達した。
また、次の自民党総裁にふさわしい人をたずねたところ、安倍首相は前の月より8.8ポイント下がって14.1%だった。トップは石破元幹事長で24%、続いて小泉進次郎議員が21.2%などとなっている。

<NNN電話世論調査
【調査日】3月16日〜18日
【全国有権者】1918人
【回答率】40.0%
※詳細は日本テレビ・ホームページ「ニュース・情報」
http://www.ntv.co.jp/yoron/201803/soku-index.html

前川前事務次官への圧力問題 文科省をはねつけた市教委の神対応に称賛の声 (1/2) - AERA dot. (2018年3月16日)

https://dot.asahi.com/dot/2018031600071.html?page=1

前川喜平・前文部科学事務次官名古屋市立の中学校で授業をしたことについて、文科省が同市の教育委員会に対し、前川氏を招いた意図の説明や録音テープの提供などを求めていたことが、問題になっている。
市教委の杉崎正美教育長は16日、「このような問い合わせは今まで聞いたことがない」とコメント。河村たかし名古屋市長も「(文科省は)やり過ぎ」と批判し、同省に問い合わせの意図を確認する意向を示した。
永田町では現在、調査の実施に政治家からの要請があったのではないかと言われている。野党関係者はこう話す。
「こんな調査を文科省がわざわざやるとは思えない。外部から問い合わせがあったはずだが、電話があっても、『市教委に直接聞いて下さい』と言えばいいだけの話。となると、政治家か官邸の関与があった可能性もある」
同日に行われた野党合同ヒアリングでは、同省の職員が経緯を説明し、「(文科省内で)調査を決めた」と語った。一方、事前に政治家からの問い合わせがあったかをたずねられると、「確認します」「(コメントを)差し控えさせていただきます」と、回答を避けた。今後、政治家の関与の有無が焦点になりそうだ。
一方、別の意味で話題になっているのが市教委が同省に返信した“反論メール”の中身だ。最近では、役人が政権の意向を“忖度”し、国会や国民に対しては不誠実な対応ばかりが目につくが、市教委は同省に毅然とした態度で反論していた。
そのメールの中身を紹介しよう。
市教委に最初にメールが届いたのは3月1日18時。同省から「事実関係をご教示頂きたく」という文言とともに、15もの質問項目が並んでいた。そこには、交通費や謝金の額、動員の有無、講演録や録音データの提供要請などが記され、5日18時までに回答するよう要求していた。
また、前川氏については「国家公務員の天下り問題で辞職」「いわゆる出会い系バーの店を利用し、そこで知り合った女性と食事をしたり、時に金銭を供与したりしていた」などと説明。「こうした背景がある同氏について、(中略)どのような判断で依頼されたのか」と、質問した。
監督官庁からのメールでここまで強い調子の文言が並ぶと、市教委の役人がひるんでもおかしくない。ところが、そうはならなかった。
天下り問題については「文科省ひいては国家公務員全体の問題であると認識」、出会い系バーには「バー云々については、良心的な目的であったことが報道されてい」ると反論。謝礼は交通費込みで5万円と通常の金額であったことを伝え、録音データの提供は「ご提供は差し控えさせていただきます」と拒否した。動員についても、学校内外の参加者人数を報告したうえで、「一切ありません」と回答した。
また、「事前又は事後に保護者から意見や反応等はなかったのか」との質問には、「事前、事後とも、ポジティブな反応ばかり」と、バッサリ斬り捨てた。
反省の色をみせなかったことに腹が立ったのか、同省は6日朝8時、再び市教委に質問のメールを送りつけた。今度は締切を翌日の7日正午に設定し、「必要に応じてこれ以外にも改めて質問をさせて頂く可能性」や「書面にて又は直接ご確認をさせて頂く可能性があります」と、“脅し”とも思える文言を並べた。
だが、このメールも不発に終わる。同省は、2回目の質問でも、前川氏が天下り問題で「省全体の責任者」となり「本人自らの非違行為を理由として停職相当」の処分を受けたことを説明し、「校長はこの事実をご認識されていたのでしょうか」と詰問したが、市教委は「辞任されたこと以上のことは知りません」と、またもやゼロ回答。保護者や生徒の感想についても「ネガティブな反応はまったくなかったのか」と重ねて質問を浴びせてきたが、市教委は「まったくございません」と、2回目のカウンターパンチを浴びせた。
監督官庁からの嫌がらせとしか思えない調査に、市教委が役人の矜持でキチンと反論したことに「教育の独立を守った」(別の野党関係者)と称賛の声も出ている。官邸ばかりを見て仕事をしている現在の霞が関官僚にとっては、信じられない反応だったに違いない。(AERA dot.編集部・西岡千史)

前川氏授業 自民議員が照会 文教族、文科省は影響否定 - 毎日新聞(2018年3月18日)

https://mainichi.jp/articles/20180318/k00/00m/040/114000c
http://archive.today/2018.03.17-215547/https://mainichi.jp/articles/20180318/k00/00m/040/114000c

文部科学省名古屋市教育委員会に、前川喜平・前事務次官が市立中学で講師を務めた授業の内容の報告や録音データの提供を求めた問題を巡り、自民党文科部会に所属する衆院議員が文科省に授業の経緯を照会していたことが政府関係者への取材で判明した。文科省はその後に市教委に問い合わせており、議員の照会が影響を与えた可能性があるが、文科省幹部は「問い合わせたのは省としての判断だ」と説明している。【伊澤拓也、山衛守剛】
前川氏は2月16日、市立八王子中で総合学習の授業として講演。不登校の経験などに触れ、「自ら学ぶ力、考える力を身につけてほしい」と呼びかけた。
関係者によると、議員は2月中旬から下旬に複数回、文科省初等中等教育局に電話し、授業の内容や経緯について説明を求めた。同局は照会について、林芳正文科相ら政務三役に報告しなかったという。
市教委によると、文科省は今月1日、15項目の質問を列挙したメールを送信。天下りあっせん問題による引責辞任や「出会い系バーの利用」に言及して前川氏を招いた経緯や理由などを尋ね、録音データの提供を求めた。5日夕の返信を受け、6日朝には校長の認識など11項目の追加質問を送り、7日正午までの回答を要請した。市教委は16日、双方のメール計4本などA4判22ページを公開した。
文科省は16日の野党合同ヒアリングで、授業の様子を翌日報じた地元の中日新聞の記事が問い合わせのきっかけだったと説明。同時期に外部から照会もあったことは認めたものの、照会が誰からだったかについては「差し控える」と明らかにしなかった。「政治家の介入はあったのか」との質問には「確認する」と答えるにとどめ、「あくまでも私たちの判断」と繰り返した。
省内には「メールの質問事項は、官僚の文章には思えない」との声がある。職員の一人は「照会は執拗(しつよう)で対応に苦慮したと聞いている」と話した。

辺野古判決 司法の存在意義どこへ - 朝日新聞(2018年3月18日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13408193.html
http://archive.today/2018.03.18-010634/https://www.asahi.com/articles/DA3S13408193.html

司法の存在意義を自らおとしめる判決ではないのか。沖縄・辺野古の海の埋め立てをめぐる訴訟のことだ。
県の漁業調整規則にもとづく知事の許可がないのに、海底の岩礁を壊すのは違法だとして、沖縄県が国に工事の差し止めを求めた裁判で、那覇地裁は実質的な審理に入らないまま、県側の敗訴を言いわたした。
よりどころにしたのが、兵庫県宝塚市のパチンコ条例をめぐる02年の最高裁判例だ。
パチンコ店などの建築を規制する条例に従わず、業者が工事を強行した。中止を求めて市が提訴したのに対し、最高裁は条例の内容を検討することなく訴えを退けた。「行政が国民に対し、単に条例や規則に従うよう求める裁判を起こすことはできない」との判断だった。
那覇地裁は、相手が国民でなく国であっても変わらないとして、この判例を踏襲した。
岩礁破砕に関しては、知事の許可が必要だとしていた水産庁が、詳しい説明をせずに見解を変更するなど、不可解な点が多い。そうした疑問も置き去りにされたため県は納得せず、紛争解決の糸口は一向に見えない。
先の最高裁判例は学界から厳しい批判を浴びている。法に違反すると疑われる行為があり、公共の利益を担う自治体が裁判で待ったをかけようとしても、司法は取りあわない。そう言うに等しい判断だからだ。
90年代の行政改革に関与し、行政法の教授から最高裁判事に就任した藤田宙靖(ときやす)氏は、明治以来の法理の発展を否定するものだと指摘。著書に「自ら最高裁判事となった以上は何とかしなければならないと焦慮に駆られていた」と書いている。だがこうした裁判は提訴されることがそうはないため、見直す機会のないまま定年退官した。
辺野古訴訟はその「機会」になる可能性をはらむ。
基地移転という政治課題とは別に、司法はいかなる役割を担い、紛争解決にあたるのかという、社会の仕組みの根幹にかかわる問題だ。他の自治体などの行動に与える影響も大きい。
判例に従っていれば、裁判官は悩む必要はなく、審理も楽だろう。しかしそれでは議論は進展せず、機能しない司法に対する不信が深まるだけだ。
昨年、強制わいせつ罪の成立要件を限定的にとらえる判例が、最高裁で47年ぶりに変更された。まず地裁の裁判官が異を唱えたのがきっかけだった。
今回、沖縄県は控訴する方針だという。高裁がその主張にどう向きあうか、注目したい。

(米軍属事件 補償の壁)地位協定の解釈見直せ - 沖縄タイムズ(2018年3月17日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/224113
https://megalodon.jp/2018-0318-1007-01/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/224113

軍属として特権的地位を与えておきながら、米軍の直接雇用ではないので補償の対象外というのは、到底納得できるものではない。
一昨年4月、うるま市で起きた米軍属の男による女性暴行殺害事件で、米政府が遺族への補償を拒んでいる。
この事件では一審で無期懲役とされた被告に対し、那覇地裁が遺族への賠償を命じる決定を出した。犯罪被害者支援の一環で、刑事裁判の中で賠償請求できる「損害賠償命令制度」によるものだ。
しかし被告に支払い能力がないため、遺族は日米地位協定に基づき米政府に補償を求める準備を進めていた。その矢先、補償に後ろ向きの声が聞こえてきた。
地位協定18条6項は、「合衆国軍隊の構成員又は被用者」が公務外に起こした不法行為について米政府の補償を定めている。
事件当時、被告は基地内の民間会社で働いていた。米軍の直接雇用ではないので制度が適用される「被用者」に当たらないとの主張である。
一方、地位協定1条は「合衆国の国籍を有する文民で日本国にある合衆国軍隊に雇用され、これに勤務し、又はこれに随伴するもの」を軍属と規定している。軍と契約している民間会社に雇用されていた被告も、地位協定の定める軍属とされたのだ。
在沖米軍トップが事件後、県庁に駆け付け「私に責任がある」と頭を下げたのは、軍人並みに地位協定の恩恵を受ける軍属だったからである。責任を忘れたわけではあるまい。

■    ■

米軍人らによる公務外の事件・事故では、米側の支払いが裁判所が示した補償額に満たない場合、その差額を日本政府が埋める「SACO見舞金」の制度もある。だが見舞金は米側の補償が前提だ。 
冷静に考えてほしい。ウオーキング中に突然襲われ、命を奪われた被害者には何の落ち度もない。加害者のみか、両政府からも賠償金や見舞金が一銭も支払われないというのはあまりに理不尽だ。
昨年、両政府は犯罪抑止につなげようと軍属の範囲を縮小する地位協定の補足協定に署名した。政府は画期的と自画自賛したが、肝心な軍属と被用者の違いさえ整理していなかったのである。
そもそも今回のような米側の解釈はどこで誰が決めたのか。米側が一方的に解釈しているのか。それとも日米合同委員会で話し合われ、そのような解釈に至ったのか。明らかにすべきだ。

■    ■

裁判で読み上げられた被害者の母親の言葉を思い出すと今でも胸が締め付けられる。「(娘は)想像しがたい恐怖におびえ、痛み、苦しみの中でこの世を去りました。悔しいです。悲しすぎます」
国会は衆参両院で与党が圧倒的多数を占めている。被害者遺族に寄り添い、公的救済に積極的に動くべきだ。
基地あるが故の被害に対する補償を、被用者かどうかで区別することに合理的理由はない。地位協定の見直しも含めて、この問題を早急に解決しなければならない。

米、遺族へ補償金拒む 地位協定の欠陥是正せよ - 琉球新報(2018年3月18日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-684431.html
http://archive.today/2018.03.18-010843/https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-684431.html

米軍属女性暴行殺人事件の被告が遺族に支払うべき損害賠償の補償肩代わりについて、米側が被告の身分を理由に対象外だとして拒否していることが分かった。日米地位協定で定めた補償対象の「被用者」に、米軍の直接雇用でない軍属は含まれないとの主張だ。地位協定の欠陥と言わざるを得ない。
補償の肩代わりは日米地位協定第18条6項で定められている。米軍関係者の公務外の事件・事故などで、被害者側は米政府に賠償金を請求できることになっている。
ところがこの6項で補償対象について「合衆国軍隊の構成員または被用者」と規定している。米側は「被用者」の中に、米軍が直接雇用していない軍属は含まれないと解釈しているようだ。
裁判権では「被用者」という線引きはない。軍属は米軍人と同じ日米地位協定に基づく取り扱いを受ける。裁判権では特権を受けるのに、補償で支払い対象から除外されれば、米側のご都合主義としか言いようがない。
2008年に沖縄市で発生した米軍人2人によるタクシー強盗致傷事件では、運転手の男性が重傷を負わされた。男性は心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しめられ、補償が実現しないまま12年に死去している。
補償が実現しなかったのは日本側の補償審査が終わらなかったためだ。男性の代理人が09年5月から14年10月まで、5回にわたって損害賠償請求書を提出した。しかし日本側が損害額の算定などを理由に審査を継続し、結論を出していなかったのだ。
このため男性の長男が昨年12月、損害賠償請求訴訟を那覇地裁に起こした。10年たっても補償が実現できない現状は現行制度のいびつさを証明している。これでは遺族は報われない。
米軍人・軍属による事件被害者の会は2005年、米軍人、軍属らの不法行為による被害者を救済するために、日本政府が損害を賠償する「損害賠償法」の制定を求めて国会議員や外務省などに要請活動を展開した。
その際、外務省などは「日米地位協定が存在する以上、新たな法律を制定するのは困難」と答え、制定に否定的な立場を示した。地位協定の欠陥によって被害者が泣き寝入りしているからこそ法整備を求めたのだ。その声に耳を傾けないのなら、地位協定の抜本改定に踏み切るべきだ。
県内の米軍人・軍属、家族による刑法犯摘発件数は2017年は48件だった。16年の23件から倍増している。被害者が救済されない状況を放置してはならない。
米軍属女性暴行殺人事件の被告については現在、日米双方が「被用者」に該当するかについて協議を継続している。米側には「被用者」に該当するとの判断を求めたい。そして補償の肩代わりを速やかに実行に移すべきだ。

<金口木舌>公文書って誰のもの? - 琉球新報(2018年3月18日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-684430.html
http://archive.today/2018.03.18-011025/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-684430.html

役所に取材に行くと、対応者は2人。1人は記者の受け答えに応じ、もう1人は黙ってやりとりをメモする。メモ係は後で「言った言わない」とならないための資料作成である。行政の「文書で始まり文書に終わる」という業務の基本を目の当たりにした

▼そんな経験から財務省の「文書は破棄した」という答弁は、虚偽ではないかと疑っていた。森友学園への国有地売却を巡る国会答弁である。書き換え前の報告書は約80ページで、決裁文書の改ざんは計14文書、200項目を超えた
▼旧優生保護法下で知的や精神障がい者に対し、不妊手術を認めていた問題は、公文書でその実態が明らかになった。名前や年齢、医師の所見が書かれていた
▼全国47都道府県への情報公開請求などで文書を入手し報道をしたのは、ジャーナリズムNGOのワセダクロニクルだった。調査報道に特化したウェブメディアだ
▼負の歴史でも、過去の公文書から学ぶことがある。公文書や公的記録は、国民の財産という意識の欠如と隠蔽(いんぺい)体質が、森友問題の決裁文書書き換えにつながっている
▼米国では大統領のツイッターも公文書として保存される。非公開の協議、電話、メールも同様で時期が来たら公開される。民主主義の根幹に公文書があるという意識だ。公文書は政治家や官僚の地位保全のためではなく、国民に説明責任を果たすためにある。

週のはじめに考える 新聞人への問い掛け - 東京新聞(2018年3月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018031802000161.html
https://megalodon.jp/2018-0318-1010-06/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018031802000161.html

一国の最高権力者が新聞などの既存メディアを敵視する困難な時代。米国で作られた一本の映画が、新聞に関わる私たちにもその覚悟を問い掛けます。
その映画は「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書(原題The Post)」です。
ジョーズ」「未知との遭遇」などの名作を送り出したスティーブン・スピルバーグ監督が、米紙ワシントン・ポストの実話を基に制作しました。受賞は逃しましたが、今年のアカデミー作品賞、主演女優賞候補にノミネートされ、日本でも公開予定です。

ベトナム戦の機密暴く
映画が描く一九七一年当時を振り返ります。
ベトナム戦争は泥沼化し、米国民に戦争への疑問や反戦の機運が高まる中、ポストのライバル紙であるニューヨーク・タイムズ国防総省の機密文書の存在をスクープ報道しました。ペンタゴン・ペーパーズと呼ばれる文書です。
六七年、当時のマクナマラ国防長官の指示による文書はベトナム戦争をめぐる米政権の嘘(うそ)と誤りに満ちていました。政権には明らかにされたくない暗部です。
文書をタイムズに暴いたのは自ら作成に加わったダニエル・エルズバーグ博士でした。
時のニクソン政権は「米国の安全保障を脅かす」として、タイムズに記事掲載の差し止めを求めて連邦地方裁判所に提訴し、控訴審は政府側の訴えを認めます。
ポストも文書を入手し、ベンジャミン・ブラッドリー編集主幹らは記事の掲載を主張しますが、顧問弁護士が反対します。「この文書を報道する権利を確立するためにポストが法廷闘争をする必要はない。タイムズの法廷闘争の結果を待てばよい」(デイヴィッド・ハルバースタム著「メディアの権力」朝日文庫)との理由です。

◆「スピルバーグ映画」に
掲載するか、しないか。
厳しい判断を委ねられたのは米主要紙で当時、唯一の女性経営者だったキャサリン・グラハムさんでした。発行停止となれば、夫から引き継いだポストを経営危機にさらすかもしれない。しかし、彼女は最後にこう決断します。「発行しましょう」と。
政権はタイムズ同様、ポストにも記事差し止めを求めますが、連邦最高裁は「報道の自由」を掲げる新聞側に軍配を上げました。根拠は米国憲法修正第一条です。
連邦議会は…言論または出版の自由を制限する法律…は、これを制定してはならない」
建国間もない一七九一年に成立したこの条文は、今も報道の自由のよりどころになっています。
記事差し止めを退けた判事の一人、ヒューゴ・ブラック氏はこう意見を述べました。「報道機関は統治される者に仕えるもので、統治者に仕えるものではない。報道機関に対する政府の検閲は撤廃され、報道機関が政府を批判する権利は永久に存続する。自由で制限を受けない報道のみが、政府の偽りを効果的に暴くことができる」
この意見は、新聞など報道機関の存在意義と、果たすべき役割を明確に示しています。
機密文書を最初に暴いたエルズバーグ氏やタイムズの功績は言うまでもありませんが、続いたポストも声価を高め、米国を代表する新聞としての地位を築きます。
キャサリンが決断しなければ、ニクソン大統領を辞任に追い込んだその後のウォーターゲート事件報道もなかったのかもしれません。米国や世界の歴史を変えた決断だったのです。
映画では編集主幹をトム・ハンクス、キャサリンメリル・ストリープが演じています。緊迫した応酬も見どころです。
スピルバーグ監督は昨年、すでに制作が予定されていた映画を後回しにしてこの映画の撮影に入ったといいます。背景にはトランプ政権の誕生がありました。
政権に批判的なメディアを「フェイク(偽の)ニュース」と切り捨て、事実に反することでも「オルタナティブ・ファクト(もう一つの事実)」と開き直る。
そこにあるのは、米国憲法が掲げる「報道の自由」を軽んじ、国民に真実を伝えようとしない政権の姿です。米国は今、ベトナム戦争以来の危機かもしれない。

◆メディア攻撃、日本でも
米国の危機に日本も無縁ではあり得ません。政府が文書を改ざんして事実を隠蔽(いんぺい)したり、安倍晋三首相自らが国会の場で新聞などのメディアを攻撃するのは、日本の日常風景でもあるからです。
報道の自由を脅かすような危機的状況が起きれば、かつてのポストやタイムズのように権力に立ち向かうのは、新聞に今、関わっている私たちです。事実を見つけ出し、しっかり報道しているか。映画からは、スピルバーグ監督の叱咤(しった)が聞こえてくるようです。