産経新聞が削除、おわび 「沖縄米兵が日本人救出」記事 - 東京新聞(2018年2月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201802/CK2018020802000254.html
https://megalodon.jp/2018-0208-1821-06/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201802/CK2018020802000254.html

産経新聞は八日付朝刊で、昨年十二月一日に沖縄県沖縄市で発生した車六台が絡んだ事故について、巻き込まれた日本人を米海兵隊員が救出したとする記事を同十二日付朝刊に掲載したが、事実が確認できなかったとして、記事を削除するとともにおわびした。
また、同九日にインターネット配信した産経ニュースで、県内で発行されている新聞の琉球新報沖縄タイムスが同様の報道をしなかったことを「報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ」などと批判したことにも、行き過ぎた表現があったとして記事を削除し、両紙や読者に謝罪した。
産経新聞の検証記事などによると、事故の記事はいずれも那覇支局長が執筆。ネット上の情報などを根拠に米海兵隊を取材したが、県警への取材を怠るなど事実関係の確認を十分しなかったことが原因としている。社内のチェックも不十分だったとした。
琉球新報沖縄タイムスは今年一月以降、米海兵隊員の救出について、米海兵隊や県警が確認していないとして、産経新聞の報道を否定していた。
産経新聞社は八日、処分も今後に検討するとした上で、乾正人執行役員東京編集局長名で「こうした事態を真摯(しんし)に受け止め、再発防止の記者教育をさらに徹底するとともに、出稿体制を見直し、記事の信頼性向上に努めていく」などとするコメントを出した。

◆おわび姿勢は評価 沖縄2紙
<普久原(ふくはら)均琉球新報社編集局長> 「米海兵隊曹長の日本人救出」に関する今回の報道で、八日付産経新聞がきちんと事実を検証し、取材の不十分さを認めて、率直にわびた姿勢には敬意を表する。今回の件に関して、琉球新報社は「事実の報道に徹する」という基本姿勢に基づき慎重に取材を進めてきた。産経新聞が報じたように、米海兵隊曹長が日本人運転手を救助した後、事故に遭ったという事実があれば報道し、救助した事実がなければ産経新聞の報道の誤りをただすという方針で取材した。関係機関を取材した結果、曹長による救助行為を米軍が否定し、沖縄県警も確認していないことが判明したため、一月三十日付本紙の報道に至った。琉球新報は今後とも「事実の報道に徹する」という基本姿勢を堅持する。

<石川達也沖縄タイムス執行役員編集局長> 産経新聞は、沖縄県警への取材を怠ったと認めた上で、沖縄タイムス琉球新報の「報道姿勢に対する行き過ぎた表現があった」として、記事を削除、おわびした。報道機関として評価する。表現の自由は言論機関の根幹ではあるが、事実関係の取材が不十分なまま、二紙に対し「メディア、報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ」などの表現を用いたことは不適切だったと思う。沖縄タイムスは今後も事実に基づいた報道を徹底する。

一票の不平等「違憲状態」 昨年衆院選で初判断 - 東京新聞(2018年2月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201802/CK2018020802000131.html
https://megalodon.jp/2018-0208-0921-02/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201802/CK2018020802000131.html


一票の格差」が最大で一・九八倍だった昨年十月の衆院選は、違憲だとして、愛知、岐阜、三重の有権者が選挙の無効(やり直し)を求めた訴訟の判決が七日、名古屋高裁であった。藤山雅行裁判長は「一人別枠方式の構造上の問題点の抜本的解消に至っていなかった」として、不平等は「違憲状態」だったと判断した。選挙無効の請求は棄却した。
昨年の衆院選を巡っては、同様の訴訟が全国十四の高裁・高裁支部に計十六件起こされた。これまでの十件はすべて「合憲」の判断だった。
藤山裁判長は判決理由で、昨年の衆院選が、小選挙区の定数を「〇増六減」する区割り変更を経て、実施されたことに言及。一九九四年の小選挙区制導入後、初めて最大格差が二倍を下回ったが、「極めて二倍に近く、容易に看過しえない」と指摘した。
区割りの変更には、各都道府県にあらかじめ一議席を配分してから残りを人口比例で割り振る現行の「一人別枠方式」に代えて、人口比をより反映する「アダムズ方式」を導入することが明示された。
藤山裁判長は、アダムズ方式の導入が二〇二〇年の国勢調査後になることに触れ、「アダムズ方式による(定数の)再配分が行われるまでは、一人別枠方式の構造上の問題は解消されない」と強調。昨年の衆院選は「一人別枠方式を含む都道府県への定数配分に一部の修正を重ねた方法にとどまる」と指摘した。
一一年三月の最高裁判決で「一人別枠方式」廃止の必要性が促された点にも触れ、藤山裁判長は「国会には判決を尊重する意思があったか否かにも疑問が生じる」とした。最大格差を二倍以下に縮小したことやアダムズ方式導入を決めたことは評価し、選挙無効は認めなかった。
昨年の衆院選は、十九都道府県で選挙区が見直され、三重や青森など六県で定数が一つ減った。有権者数が最多の東京13区は最少の鳥取1区の一・九八倍だった。

衆院選一票の不平等訴訟> 国会議員1人当たりの有権者数が選挙区ごとに異なり、1票の価値に不均衡が生じるのは憲法に反するとして選挙無効を求める訴訟。不平等が著しい場合は「違憲状態」、合理的な期間内にその状態が是正されなければ「違憲」となる。

9条改憲 条文案提示へ 自民推進本部 自衛隊明記めぐり - 東京新聞(2018年2月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201802/CK2018020802000142.html
https://megalodon.jp/2018-0208-0922-26/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201802/CK2018020802000142.html


自民党憲法改正推進本部は七日、党本部で全体会合を開き、自衛隊の存在を明記する九条改憲について議論した。戦力不保持を定めた九条二項を維持する執行部の方針に対し、二項削除を求める意見も依然として出たことから、細田博之本部長は、それぞれを具体的な条文の形にして意見集約を図る方針を表明。所属議員に対し、素案の提出を求めた。(生島章弘)
意見集約のめどとする三月二十五日の党大会まで二カ月を切っており、「これまでのような観念論では前に進まない」(推進本部幹部)との判断。推進本部は、十日以内をめどに各議員から素案を募り、九条二項の維持、削除両案を含む三本程度に整理。次に自衛隊明記を取り上げる会合で、議論のたたき台として提示する方針だ。
細田氏は「条文が国民の理解を得て、幅広く支持されることが最も重要。いよいよ具体案をつくっていく」と強調した。条文案の形で議論が進めば、改憲論議は加速することになる。
出席者からは「国民(世論)の最大公約数は、九条の制約を残した上で自衛隊を明記することだ」として二項維持を求める声や、「二項を維持すると、いつまでも違憲論を引きずってしまう」という指摘が出た。「自衛隊ではなく、自衛権について明記すべきだ」との意見もあり、結論は出なかった。岡田直樹事務局長は「二項維持が多数を占めた」と記者団に説明した。
安倍晋三首相(党総裁)は今国会で「二項を変えることになれば、書き込み方で全面的な集団的自衛権の行使が可能になる」と否定的な見解を示している。 

改憲、9条2項維持する案で検討 自民、条文案作り着手 - 朝日新聞(2018年2月8日)

https://www.asahi.com/articles/ASL274RQ7L27UTFK00T.html
http://archive.today/2018.02.08-002917/https://www.asahi.com/articles/ASL274RQ7L27UTFK00T.html

自民党憲法改正推進本部は7日、憲法9条改正に向けた条文案の作成作業に入った。党内では戦力の不保持と交戦権の否認をうたう9条2項を維持する案と削除する案が対立する。執行部は各議員に条文案を募るが、安倍晋三首相(党総裁)が提起した2項を残す案を軸に検討する方針だ。
昨年末に推進本部がまとめた論点整理でも、2項維持と削除が両論併記された。細田博之本部長は7日の推進本部全体会合で「国民に理解を得て、幅広く支持されて是認されることが最も重要」と強調。現実路線を強調する安倍首相の論理に沿った取りまとめを目指す方向性を示した。
この場で示された資料では、2項維持案によって「自衛隊違憲論は早期に解消を図るべきではないか」とする一方で、削除案は「フルスペック(制約のない形で)の集団的自衛権行使が可能となる」と指摘。野党や世論の反発を招きかねないことをにじませた。
出席議員の議論では「まずは一歩目として、2項を残して自衛隊明記を」などの意見が出され、岡田直樹・推進本部事務局長によると、2項維持案支持が多数を占めたという。ただ、2項と自衛隊明記との整合性を疑問視する2項削除論もなお残る。さらに2項を維持したうえで、「自衛権」を明記する案を支持する意見も出た。
細田氏は、党所属議員に条文案を独自に作って10日以内に提出するよう要請した。(岩尾真宏)

中学の部活動 「自前主義」を離れて - 朝日新聞(2018年2月8日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13349750.html
http://archive.today/2018.02.08-002803/https://www.asahi.com/articles/DA3S13349750.html

平日の練習は長くても2時間程度。土日は3時間。週に2日以上の休養日を設ける――。
中学校の部活動のあり方を見直すべきだという声をうけて、スポーツ庁がまとめたガイドライン(指針)案の内容だ。
部活の意義は大きい。学年の違う生徒と交流し、人間関係を築き、一緒になって目標をめざすのは得がたい経験である。
とはいえ、部活はあくまでも自主的な活動だ。長時間練習によるケガや故障、学業への悪影響などの弊害に加え、保護者のいきすぎた期待・介入も目につく。顧問をつとめる教員の長時間労働の一因にもなっており、抜本改革は避けられない。
練習時間の短縮に異論も一部出ているが、中学生の発達段階を考えると、指針案はおおむね妥当な内容といえる。
大事なのは紙の上の提言に終わらせないことだ。21年前にも同様の方針が示されたが、定着しなかった。その反省から、今回は各自治体の教育委員会に実行案づくりを求めるという。
学校現場には戸惑いもあるだろう。だが、生徒、教職員、保護者の間で、あるべき部活像について議論を深める良い機会としてもらいたい。
地域によっては、少子化や交通事情の変化、配属される教員の数や年齢分布のかたよりなどで、従来のような部活を維持するのが難しくなっている。
施設から指導者まで、すべてを学校内で用立てる「自前主義」にこだわらず、地域全体でどんな受け皿を用意し、そのためには何をすべきかという視点から考えることが必要だ。指針案にも、その方策のひとつとして、外部指導員の積極的な活用が盛り込まれた。
地元にある大学や総合型地域スポーツクラブと、いかに連携するか。大会を開く際、学校の枠をこえた合同チームや地域のクラブをどう扱うか。関係者で話し合って、新しいかたちを作りだしてはどうだろう。
競技団体や地元の体育協会の協力も欠かせない。
指導方法に関するマニュアルを整備したり、研修の機会を設けたりして、現場の教員が自由に利用できるようにする。経験者らに呼びかけ、子どもの成長に応じた指導法を習得させて学校側に紹介する――など、とり組むべきことはたくさんある。競技に親しむ若者が増えれば、その団体も活気づくだろう。
高校入試の際に、部活の実績をどう適切に評価するか。改革論議を今後進めていくうえで、これもまた、避けて通れないテーマである。

(大弦小弦)政府の方針に従うかどうかで、税金の使い道がこんなに変わっていいのだろうか… - 沖縄タイムズ(2018年2月8日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/206737
https://megalodon.jp/2018-0208-0926-28/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/206737

政府の方針に従うかどうかで、税金の使い道がこんなに変わってしまっていいのだろうか。政府は名護市長選で全面支援した渡具知武豊さんの当選を受け、米軍再編交付金を本年度分から再開することを検討

▼さらに稲嶺進前市長時代に交付しなかった相当額も別の予算措置で支給できないか精査する。新基地反対を公約に掲げた前市政が誕生した2010年から交付が凍結されていた

▼ことの始まりは、第1次安倍政権時代の07年に成立した再編特措法。成立当初から地元の分断を招く「アメとムチ」と批判を浴びた

▼米空母艦載機の受け入れを求められた岩国市は住民投票で反対の意思を示していた。だが、露骨な予算削減の圧力を前に市政が交代。米陸軍司令部の移転先となった座間市も08年に受け入れに転じた

▼一時的な再編交付金が持続的な地域振興につながるかは疑問だ。どこの自治体も財源は厳しい。だからこそ知恵をしぼる。問われるべきは基地負担を強いながら予算で懐柔を図る政府の姿勢だ

▼きょうから渡具知さんの新市政がスタートする。選挙戦では辺野古に触れず「海兵隊の県外・国外への移転」を公約に掲げた。再編交付金を受け取れば、地元は新基地容認とみられるだろう。多様な民意を取り込んだだけに、市民の分断修復という新市長に課せられた責任は重い。(知念清張)

(金口木舌)沖縄の平和は世界の平和 - 琉球新報(2018年2月8日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-661225.html
http://archive.today/2018.02.08-002600/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-661225.html

「沖縄にまた来れれば、もっと長生きできそうだ」。2001年11月、那覇市識名園で盛大な歓迎を受けたミハイル・ゴルバチョフソ連大統領はこう語った

▼あれから16年余。彼は86歳。執務室の壁の真ん中に、大きな写真を飾っている。カンカラ三線をもらった伝法紀美香さん(当時長嶺小2年)を抱き上げ満面の笑みを浮かべている当時の写真だ。「彼女は今、レディーの年だ」と懐かしんでいるという
▼3度の訪問で沖縄に特別な思いを抱く。その後も来沖を模索したが、体調不良で断念した。「医師が許せば必ず行く」。シベリア出身の亡き妻に「沖縄の海を見せたかった」と涙ぐんだという
▼東西冷戦を終結へ導き、ノーベル平和賞を受賞。米国と交渉し、軍縮も進めた。その功績をたどるドキュメンタリー映画が今秋公開される。監督は巨匠ヴェルナー・ヘルツォーク
▼「県民に真実を公開する必要がある」。冷戦時代、米軍の核兵器が沖縄に多数配備されていたことを知り、沖縄へメッセージを送った。核軍縮が揺れる現状の危機感からだ
▼豊かな自然や独特な文化などの潜在的可能性を生かすことで、世界のターミナルになれるという沖縄の将来像も提起した。戦争の前線に置かれ続けている沖縄が平和になることは、アジアや世界の平和につながる。「それを忘れるな」。20世紀の巨人の言葉から、そんな思いを読み取った。

豪雪で立ち往生の車に500人前 餃子の王将、無償で - 朝日新聞(2018年2月7日)

https://www.asahi.com/articles/ASL2766JXL27PTIL02R.html
http://archive.today/2018.02.07-130806/https://www.asahi.com/articles/ASL2766JXL27PTIL02R.html

国道8号では自衛隊などによる除雪作業が続いていた=7日午後4時11分、福井県坂井市朝日新聞社ヘリから、矢木隆晴撮影



豪雪で車両が立ち往生している福井県坂井市では、国道8号沿いにある「餃子(ギョーザ)の王将」丸岡店が7日、ドライバーたちに無償で約500人前の料理を届けた。その裏には副店長の、阪神大震災の記憶があった。
酢豚に焼きめし、天津飯、ギョーザ、あんかけ焼きそば……。店は雪のため前日から臨時休業だが、余った食材で7日昼過ぎから料理をつくっては、ドライバーたちのもとへ運んだ。店の常連のトラック運転手も雪にはまっていた。「ほんとにいいの?」「今度また店いくわ」と喜んでくれた。
「こんなに一気に作り続けることはふだんもない。歩いて持って行くのも一苦労でしたし、疲れました」と副店長の中山幸紀(ゆきのり)さん(41)。午前に店を訪れ、急きょ炊き出しを思いついた。上司に確認すると、「どんどんやって」と快諾が得られた。
中山さんが思い立った理由には、1995年の阪神大震災の経験がある。兵庫県川西市の「餃子の王将」多田店でアルバイトしているときだった。
「水道もでないのに、店長の発案で震災当日に無理やり店をあけて、ギョーザとかを出した。あのときのお客さんの顔は忘れられないんですよね。飲食をやっているなら、こういうときは人のためにやらないと」
ただ雪のため、出勤できるアルバイトは限られた。3年前にアルバイトを辞めていた近所の梅村莉奈さん(22)を急きょ呼び出した。梅村さんは「久しぶりにへとへとになったけど、やりがいがありました」と笑って話した。