外国人労働者 熟練技能者、永住可能に 在留資格2種新設 - 東京新聞(2018年10月11日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201810/CK2018101102000264.html
http://archive.today/2018.10.11-125139/http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201810/CK2018101102000264.html


外国人労働者の受け入れ拡大に向け、政府が秋の臨時国会に提出する入管難民法などの改正案骨子が判明した。受け入れが必要な業種で、知識や経験など一定の技能が必要な業務に就く「特定技能1号」と、熟練技能が必要な業務に就く「特定技能2号」という在留資格を新設する。1号は在留期限が通算五年で家族帯同を認めないが、2号は事実上永住を認め、配偶者と子どもの帯同も可能とする方針だ。
受け入れ拡大は深刻な人手不足が背景にあり、政府は来年四月の導入を目指す。単純労働分野での就労を想定しており、高度な専門人材に限っていた受け入れ政策の転換となる。骨子は十二日の関係閣僚会議で示す。
骨子によると、生産性向上や日本人労働者確保の取り組みをしても、なお人材が不足する分野で外国人を受け入れることとし、今後具体的に定める。介護や農業、建設など十数業種が検討対象となっている。人材不足が解消された場合などは、必要に応じて受け入れ停止の措置を取る。
受け入れるのは即戦力で、生活に支障がない程度の日本語ができる外国人。各業種を所管する省庁の試験などを経て、1号や2号の資格を取得する。技能実習を修了した後に1号の資格を得たり、1号から2号に移行できたりする仕組みも設ける。技能実習生が1号の資格を取得すれば、最長10年間働けることになる。
受け入れ先は、日本人と同等以上の報酬を支払うなど、雇用契約で一定の基準を満たす必要がある。1号の外国人には、計画を策定して生活などを支援する。

外国人労働者> 厚生労働省によると、日本で働く外国人労働者は昨年10月時点で過去最多の約127万9千人だった。政府はこれまで原則として就労目的の在留を認めず、高度な専門人材に限って受け入れてきたが、実態としては技術の習得を目的とした外国人技能実習生や、留学生のアルバイトも急増している。技能実習制度では、違法な低賃金や長時間労働などの問題が指摘されている。

改憲議論 隔たり際立つ 誘う自民 公明静観 - 東京新聞(2018年10月12日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201810/CK2018101202000161.html
https://megalodon.jp/2018-1012-0907-49/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201810/CK2018101202000161.html

秋の臨時国会に向け、改憲議論を巡る自民、公明両党の姿勢の隔たりが際立っている。自民党は、総裁に三選された安倍晋三首相の号令の下、党の改憲条文案を国会に示し、各党との協議を進めたい考え。公明党自民党の誘いに乗らず、静観する構えを崩さない。
公明党山口那津男代表は十一日の記者会見で、改憲議論を急ぐ自民党について「どう対応するかは自民党自身が判断すること。対応を見守っていきたい」と突き放した。衆参の憲法審査会で丁寧な議論を重ね、与野党で幅広い合意形成を目指すべきだとの考えも重ねて強調した。
両党のずれは、九月の自民党総裁選の直後から目立ち始めた。首相は秋の臨時国会に「改憲案を提出」する考えを表明し、公明党との調整に意欲を示した。これに対し、山口氏は翌日、憲法審査会に先立つ自公だけの事前協議には応じない考えを明言した。
首相が改憲原案の国会提出か、自民党案の提示のどちらを意図したのかは明らかではなかったが、いずれにしても山口氏は自公間の事前調整を明確に拒否。首相は今月になって、自民党が三月にまとめた四項目の改憲条文案を憲法審査会に示し、各党に議論を促す方針を示した。
山口氏は首相の方針に直接の論評を避けているが、自民党内で「たたき台」に位置付けられる条文案の議論には消極的だとみられる。公明党関係者は「憲法審に提示するなら、条文案ではなく、党内で正式決定した改憲案を出してほしい。曖昧なものは受け入れられない」と話す。
条文案を憲法審で議論することには、自民党内にも「党議決定してない条文案を説明しても、ただの現状報告だ」(閣僚経験者)と疑問の声がくすぶっている。 (柚木まり)

(臨時国会と改憲)急ぐ理由どこにもない - 沖縄タイムス(2018年10月11日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/328169
https://megalodon.jp/2018-1012-0911-37/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/328169

内閣改造後初めての臨時国会が今月下旬、召集される。 政府は、西日本豪雨や北海道地震などに対応するため、補正予算案を提出し、早期成立をめざす方針だ。
自民党総裁選で憲法改正への意欲を繰り返し明らかにしてきた安倍晋三首相が執着しているのは、自民党がまとめた憲法改正案の提出である。
首相本人が前のめりになればなるほど野党は反発し、国民は警戒する。与党の中でさえ合意形成は進んでいない。
自民党総裁選では、石破茂・元幹事長との考え方の違いが表面化した。衆院憲法調査会の幹事を務める船田元氏は首相の姿勢に「同調できない」として総裁選で白票を投じた。
自民党は当初、公明党と事前調整を進める意向だったが、山口那津男代表は「憲法審査会での議論が基本」だと主張し、与党協議を否定した。
創価学会の中には9条改憲に対する警戒心が強い。沖縄県知事選で問われたのも「平和の党」としての存在意義だった。
各種世論調査でも憲法改正の優先度は極めて低い。共同通信社が9月に実施した世論調査では、臨時国会への党改憲案提出に51%が「反対」と回答した。
安倍首相の姿勢が改憲の「私物化」だと批判されるのは、こうした状況を無視して強引に改憲を進めようとしているからである。
改憲を発議するのは国会であって首相ではない。首相が気負って旗を振れば振るほど「安倍改憲」への疑問と懸念は深まるばかりだ。

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一体、どのような深謀遠慮が働いているのか。
安倍首相は、臨時国会自民党憲法改正案を提出し、来夏の参院選前に国会発議するスケジュールを描いていたといわれる。
党役員人事で安倍首相は、側近の下村博文・元文部科学相を党改憲本部長に起用するなど改憲シフトを敷いた。
だが、憲法改正原案を臨時国会に提出するのは現状では不可能である。
首相が考えているのは、衆参両院の憲法審査会に4項目の自民党改憲案を提示し、その中で与野党が協議し、必要があれば一部修正をした上で、憲法改正原案を策定する、という流れだ。だが、立憲民主党などの野党は、こうした手順にも反対している。
間違っても、来年の参院選前に発議したり、参院選と同時に国民投票を実施するというような、強引な改憲が行われてはならない。

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臨時国会では、憲法改正の手続きを定めた国民投票法改正案をめぐっても、激しい議論が展開されそうだ。
現行法は、投票日の2週間前まではテレビやラジオの広告・宣伝のためにいくら金を使っても構わない仕組みになっている。資金量を誇る改憲派が有利なのは明らかだ。
憲法9条の1項、2項を維持した上で新たに自衛隊を明記する改憲案は、成立したあと、憲法解釈がとめどなく広がっていく可能性が高い。
改憲をめぐる問題はあまりにも多く、首相の意向で改憲を急ぐのは極めて危うい。

改正派遣法3年 安心して働けるように - 東京新聞(2018年10月12日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018101202000164.html
https://megalodon.jp/2018-1012-0909-58/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018101202000164.html

改正労働者派遣法が施行されて九月末で三年を迎えた。正社員化の促進を狙い改正されたはずが、逆に雇い止めが広がる懸念がでている。政府は実態を把握し必要なら制度を見直すべきだ。
約百五十六万人が派遣として働いている。派遣は雇用される企業と働く企業が違う働き方だ。働く人にとっては賃金は安く、雇用も派遣先企業の意向に左右され安定しない。
改正前は、企業の派遣受け入れ期間は秘書や通訳などの専門業務を除く一般業務では最長三年だった。引き続き雇う企業は直接雇用を求められた。二〇一五年九月三十日に施行された改正法では、原則どの業務も同じ職場で働ける期間は一律三年とした。
その代わり派遣会社には教育訓練の実施や無期雇用、受け入れ企業への直接雇用の依頼を義務付けた。受け入れ企業には派遣労働者に正社員募集の情報提供などを義務付けた。正社員化を進めるためだ。この規定が生かされるのなら派遣から雇用の安定した働き方に転換できる人が増えるはずだ。
だが、抜け穴がある。働く人を交代させれば企業は派遣を使い続けられる。部署を変えれば同じ人を雇える。これでは企業は人を変えてずっと派遣を使い続けられることになる。
働く人にとっては派遣のまま職場を転々とすることになり「生涯派遣」が増える。当初から、この懸念は指摘されていた。
施行から三年を迎えた今、その懸念が現実のものになりつつあるようだ。十五年以上勤務した人が三年となる前に直接雇用されることなく契約更新を拒否された。受け入れ企業と直接雇用の契約話が進んでいたが、派遣会社が受け入れ企業に「紹介料」を請求したことで契約されなかった。
相談を受ける市民団体には、昨年秋ごろからこうした相談が相次いでいるという。
安倍晋三首相は改正法の国会審議で「正社員を目指す人にはその道を開き、派遣でがんばる人には待遇改善を行うものだ」と説明した。だが実態は企業に都合よく、働く人が理不尽な扱いを受けることになっていないか。
政府は、受け入れ企業の直接雇用の実績など実態を把握し、雇用の安定が進まないのならば制度の改善を考えるべきだ。
派遣法は一二年の改正で法律名に「派遣労働者の保護」を明記、目的を明確化した。それを忘れてはならない。

就活ルール 学生へのしわ寄せ防げ - 朝日新聞(2018年10月12日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13719280.html
http://archive.today/2018.10.12-001314/https://www.asahi.com/articles/DA3S13719280.html

経団連が、新卒学生の就職活動の日程を申し合わせたルールの撤廃を決めた。
企業の6割超が面接解禁日を守っておらず、形骸化が進んでいた。強制力がないとはいえ、自分たちで決めたことも守れないのは情けないし、撤廃決定に至る議論がどこまで尽くされたのか、疑問も残る。
だが、外資系などの経団連に加盟していない企業の採用活動が早まっている現実がある。今後さらに海外との人材交流が進むといった社会の変化を考えれば、従来の形のルールの維持は難しいと判断したのだろう。
しかし一気に自由化すれば、学生にも企業側にも混乱が起きるのは必至だ。とりわけ心配なのは、就活が今以上に長期化し、学業に深刻な影響が出ることだ。当面は一定の目安を設ける必要がある。
今後、政府が主導して新たなルールを決めるという。大学・学生、労働側や中小企業など多様な立場の声を聞くのはもちろん、その意見をきちんと反映させなければならない。そうでないと新たな枠組みも絵に描いた餅に終わる。
ルール見直しにあたって大切にしてほしいのは、交渉力の弱い学生や中小企業が不利にならないようにすることだ。
最近でこそ就職環境が好転しているが、個々の採用においては企業側が学生より優位に立ちがちだ。内定取り消しや内定者拘束の横行があってはならない。採用活動の情報の透明性を高める必要もある。大企業の動向に左右され、採用にかけられる人手が少ない中小企業への配慮も欠かせない。
新卒一括採用は、新卒時を逃すと就職しにくくなる弊害もあるが、終身雇用や定年制ともあいまって、結果的に若年失業率を抑えてきた面がある。今後、企業が通年採用や中途採用を増やしていくとすれば、若者の就業率に悪影響がでないか、注視すべきだろう。
この機会に検討してほしいのは、学業を重視した採用のあり方だ。なし崩しに自由化が進んで「勉学より就活」の傾向が強まれば、大学は空洞化し、教育機能は弱まる。それは学生だけでなく社会の損失でもある。
多様な人材が必要な時代に、大学の名前で決めるような採用活動は改めなければという認識は、企業の側にもある。勉学の努力が就活時にも評価されるようになれば、学生の学ぶ意欲は高まる。
大学の側も、単位や卒業の要件を厳しくするなど、教育の質を高める努力が求められる。

きょう知事首相会談 「辺野古唯一」捨て対話を - 琉球新報(2018年10月12日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-817350.html
http://archive.today/2018.10.12-001553/https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-817350.html

上京中の玉城デニー知事がきょう、安倍晋三首相、菅義偉官房長官と就任後、初めて会談する。安倍政権が、知事就任9日目に会談に応じるのは、翁長雄志前知事への対応に比べると随分早い。
米軍普天間飛行場の移設先とされる名護市辺野古の新基地建設について、玉城知事は翁長前知事の遺志を継ぎ、明確に建設阻止を訴えて初当選した。
39万6632票という過去最多得票によって示された圧倒的な民意を前に、安倍政権としても沖縄県への丁寧な対応をアピールする狙いがあるのだろう。
対話に応じたポーズを示すだけのアリバイ的な会談であってはならない。安倍政権として「辺野古が唯一の解決策」という硬直した思考を捨て去り、沖縄県の求めに応じて新たな道を探ることが大切だ。
2014年12月に翁長前知事が就任した後、安倍首相、菅官房長官は知事と会おうとしなかった。就任あいさつで上京した際も「名刺だけでも渡したい」とした翁長前知事に取り合わなかった。結局、安倍首相が官邸で翁長前知事と初めて面談したのは約4カ月後の15年4月だった。
官邸で握手を交わした後、安倍首相は沖縄の振興策から話を切り出し、「辺野古移転が唯一の解決策」と通り一遍の話に終始した。振興策の話題を受け流した翁長知事が「選挙で辺野古新基地反対という圧倒的な民意が示された」と強調すると、安倍首相の表情が一転、こわばった。
16年には辺野古の代執行訴訟で和解が成立し、国と県との話し合いが求められた。しかし、協議は数カ月で決裂した。その後、6月23日の沖縄全戦没者追悼式典で顔を合わせはしても、首相と知事の本格的な対話はないままだった。
国はその後、自然環境保護などを懸念する沖縄県の訴えを無視し、協議に応じなかった。問答無用の形で新基地建設を強硬に進めている。今年8月には辺野古海域に一部の護岸を完成させた。
共同通信社が県知事選直後の今月2、3両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、普天間飛行場辺野古への移設を進める政府方針について「支持しない」は54・9%で、「支持する」34・8%を上回った。県知事選で示された沖縄県民の意志を踏まえた結果だ。
国と県が法的手段を通じてではなく、話し合いで解決策を探るのが、あるべき姿だ。安倍政権が対話のテーブルに戻るのは当然である。
会談で玉城知事は辺野古新基地建設阻止など自身の考えを説明し、沖縄の負担軽減などへの協力を求める構えだ。まずは民意を背景にした玉城知事の訴えを聞き、新たな策を考えるのが真の対話だ。
ここまで明確に示された沖縄の声に耳を傾けず、国家権力で押し切るなら、もはや民主主義国家とは言えない。

<金口木舌>魂の合唱 - 琉球新報(2018年10月12日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-817364.html
http://archive.today/2018.10.12-001740/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-817364.html

「私を覚えている?」
女の子は涙を流しながら、そう言った
あっちへ行け、彼は怒鳴りつけた
「できないよ」と少女は言った
「私を殺したのはあなた」

米兵による犯罪の被害者として、性暴力の根絶を訴えるキャサリン・ジェーン・フィッシャーさんが書いた詩の一節だ

▼登場するのは夫に暴力を振るわれる妻。被害を隠して暮らしているが、同じような性暴力の被害者である少女が夫の罪を告発する。すると大勢の被害者が家に押し掛け「あなたは悪くない」と妻を励ます
▼今年のノーベル平和賞受賞者を見て、この詩を思い出した。2人は紛争下で性暴力が繰り返される状況を世界に告発し続ける
▼沖縄では1955年に少女が乱暴されて殺害された「由美子ちゃん事件」など、軍隊による性暴力が繰り返されてきた。高良沙哉沖縄大准教授は昨年の国際人権法学会で、市民生活と基地が隣り合う沖縄は「平時でも軍事性暴力が発生している」と指摘した
▼フィッシャーさんの詩で被害者たちの「あなたは悪くない」という合唱に背中を押された妻は、被害と向き合うことを決意する。この合唱は、声を上げられずにいる被害者、世界中の女性や自己決定権を侵害される少数者に向けられているのだろう
▼「魂の殺人」と呼ばれる性暴力を社会から根絶するため、被害者たちの魂の合唱に耳を傾ける。