「お金ではない」 米軍ヘリ不時着 農家と自治会、損害賠償断る - 沖縄タイムス(2017年2月2日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/82441
http://megalodon.jp/2017-0203-1536-33/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/82441

【うるま】米軍の新型攻撃ヘリAH1Zが1月20日、伊計島の農道に不時着した事故で、被害を受けた農家と伊計自治会は1日までに、そろって国からの損害賠償の提案を断った。「お金ではない。島の上空を飛んでほしくないだけ」との思いからだった。
島特産の黄金芋を育てる上田清さん(69)の畑は、ヘリが不時着した農道沿いにある。収穫間際の芋に影響はなかったが、熱風で葉はチリチリに焦げた。その後、沖縄防衛局から損害賠償の説明があったが「補償は関係ない」と断った。「生命財産が大事。目的は安心した暮らしだから」と淡々と話す。
事故から10日余。折れた根元からは芽が出、焦げた葉も元の緑に。収穫も今月できそうだ。「芋は強い」と生命力を感じている。
一方、米軍ヘリは事故前と変わらずに島周辺を低空飛行している。「墜落はもってのほか。危険なことは嫌ですよ」と語気を強めた。
伊計自治会も損害賠償を拒んだ。「もらえば基地があることが前提になる」と玉城正則会長は話す。「基地がなければこういうことは起きない」。玉城会長と上田さん、異口同音に語った。
防衛局は今後について「被害者の意向を踏まえ、日米地位協定に基づき誠実に対応する」としている。

 沖縄ヘイト 公共の電波に乗せるとは - 信濃毎日新聞(2017年2月3日)

http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170203/KT170202ETI090003000.php
http://megalodon.jp/2017-0203-1536-59/www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170203/KT170202ETI090003000.php

同じ報道に携わる者として、見過ごすことはできない。
東京の地上波ローカル、東京MXテレビの1月2日の番組だ。基地反対運動をしている沖縄の人々を「テロリスト」と呼び、「反対派は日当をもらっている!?」「黒幕の正体は?」などと字幕で伝えたという。中傷と言われても仕方ない内容だ。
東京新聞中日新聞東京本社)の論説副主幹が司会していた。東京新聞は深田実論説主幹名の昨日の記事で「事実に基づかない論評が含まれており到底同意できるものでもありません」との見解を明らかにしている。
沖縄県の米軍北部訓練場で米軍用ヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の工事が始まった昨年夏以降、反対派住民らと警備の機動隊のにらみ合いが続いている。「過激派が救急車も止めた」など根拠のないデマがネットにあふれる。機動隊員が反対派を「土人」と呼ぶ問題も起きた。
一連の出来事を、地元の人々は沖縄ヘイト、沖縄に対する憎悪と受け止めている。
同種、同レベルの見方が公共の電波に乗って流された。驚くべきことである。
東京新聞琉球新報沖縄タイムスの記事によると、番組は反対派を批判しながら直接の取材はしていない。出演者からは「大多数の人は基地に反対とは聞かない」との発言もあった。
普天間飛行場辺野古移転については、「反対」の民意が選挙結果で繰り返し示された。基地反対は沖縄の民意と言える。
そうした事実を踏まえるなら、「テロリスト」といった言葉が出てくるはずがない。
放送法は4条で番組編成の基準を示している。

  • 公安、善良な風俗を害しない
  • 政治的に公平
  • 事実をまげない
  • 意見が対立している問題ではできるだけ多くの角度から論点を明らかにする

の4項目だ。放送に携わる者が自らを律するための基準である。
伝えられるとおりなら、番組の内容は放送法の趣旨に合致しない可能性が高い。どんな理由で放送に耐えると考えたのか、MXテレビは説明してほしい。
ヘイトスピーチに反対する団体「のりこえねっと」の辛淑玉共同代表は先日、番組内で反対運動を扇動する黒幕であるかの報道をされたとして、放送界の第三者機関放送倫理・番組向上機構BPO)に申し立てた。
BPOの判断とMXテレビの対応を、関心を持って見守りたい。

格納容器内、推定530シーベルト=2号機の画像解析−福島第1原発 - 時事ドットコム(2017年2月2日)

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017020201204&g=eqa
http://archive.is/2017.02.02-114459/http://www.jiji.com/jc/article?k=2017020201204&g=eqa


東京電力は2日、炉心溶融メルトダウン)を起こした福島第1原発2号機の格納容器内部を撮影した画像を解析した結果、空間放射線量が毎時530シーベルトと推定されたと発表した。推定が確かなら、これまでに線量計で測った数値を大幅に上回る極めて高い放射線量になる。東電は「画像の解析によるもので、実測ではない。今後の調査で線量を測定する必要がある」としている。
東電は1月、先端にカメラを付けた長い棒を格納容器の作業用トンネルから挿入。核燃料を納めた圧力容器の下で、作業用の足場に堆積物があるのを発見した。圧力容器から溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)なら極めて高い放射線を放つが、カメラには線量計が付いていなかった
画像のちらつきから線量を推定した結果、格納容器の内側に入った所で毎時50シーベルト、圧力容器下部に至る途中で同530シーベルト、さらに進んだ圧力容器下部で同20シーベルトと数値にばらつきがあった。これまでの最高値は2号機内部で2012年に測定された同73シーベルトだった。
また、画像を詳しく調べたところ、圧力容器の下の足場の一部が1メートル四方にわたって外れているのが確認された。格子状の鉄製の床には熱で溶けたようなゆがみがあり、東電は「燃料デブリが落下したことはあり得る」との見方を示した。
東電は足場に小型の自走式ロボットを進入させ、画像や線量計で燃料デブリの状態を探る計画だが、足場には他にも穴があり、東電はロボットの走行ルートを抜本的に見直す。足場にはデブリの可能性がある堆積物が付着しているため、走行の障害になる恐れがある。

廃炉費用 いつの間にか高くつく - 東京新聞(2017年2月3日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017020302000138.html
http://megalodon.jp/2017-0203-1000-25/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017020302000138.html

福島第一原発天文学的事故処理費用、「過去に原発の恩恵を受けてきたから」と、結局は国民に広くツケ回し。過去に支払い済みの料金を値上げして、差額を徴収するなんて。そんなの、ありか。
東京電力福島第一原発の事故処理費。二十一兆五千億円。東京都の予算の三倍以上、とんでもない数字である。二〇一三年の暮れまでは十一兆円と見積もられていたが、二倍近くに増えた。
溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しだけでプラス六兆円という。
何しろ放射能の壁の中、人が直接触れられない、近づくことも不可能な別世界。とてつもなく困難な作業ということである。
東電は今月、2号機直下にロボットを投入し、溶け落ちた燃料の在りかを探る。事故から六年になろうとする今も、“敵”の居場所さえ、はっきりとはつかめていない。長い時間と巨額の費用をかけて、牛歩を続けていくしかない。この先いくらかかるか分からない、天井知らずということだ。
その費用は、誰が払うのか。
東電が賄うならば、電気代、政府が肩代わりするなら税金−。結局は、消費者、国民に、ツケが回るということだ。
賠償費用も約八兆円。経済産業省の考えるツケ回しの手法は、あまりにも理不尽だ。
託送料金。すなわち、電力自由化後も既存大手の独占状態にある送電線の利用料を引き上げて、原発の電気を買わない新電力の利用者からも、「過去分」として、広く、浅く、取り立てようというのである。「新電力の利用者も、過去に原発の恩恵にあずかったから−」と、よく分からない理由をつけて、東電救済にひた走る。しかもそれが、われわれの知らないところで決められる。
政府は避難指示を徐々に解除し、賠償を順次打ち切る方針だ。
被害者の救済には原因企業の存続が不可欠と言いながら、事故原因の究明、被害の実態把握はそこそこに、補償費の抑制をひたすら急ぐ−。水俣事件とそっくりだ。
安全対策に限りはない。欧米や台湾で原発の新設が行き詰まるのは、福島に学んだからだ。“安全代”の急騰が、東芝という巨大企業の屋台骨さえ、揺るがしているではないか。
もちろん、被害者の補償を含め、事故の後始末には十分な予算をつぎ込むべきである。しかし、だからこそ、「原発の電気は安い」などとは言わせない。