<金口木舌>「ザコども」とは - 琉球新報(2024年4月25日)

https://ryukyushimpo.jp/newspaper/entry-3014016.html

イギリス映画「遠い夜明け」は実話に基づき、1970年代の南アフリカの人種隔離政策を描く。差別に対峙(たいじ)する新聞社の編集長が差別される側の視点を紙面に生かすため、黒人を記者に採用する場面が印象的だ
▼日本ではおかしなことが起きている。例えば、今年2月の埼玉県蕨(わらび)市での出来事。差別に反対する市民に警察官が「ザコども」と毒づき、クルド人排除のデモに抗議する市民を侮辱した
▼現場の記録映像に音声が残されていた。埼玉県警は発言を認めて「今後このようなことがないよう指導を進める」と謝罪した。きっちり指導してもらいたい
▼似たような言葉を思い出す。2016年に沖縄で米軍訓練場建設に抗議する市民に対し、県外の応援警官が「土人」と暴言を吐いた。その際も県警は「指導していく」と釈明したが、その言葉は守られたのか
▼差別される側に寄り添わず、差別や無謀な国策に立ち向かう市民を疎んじ、暴言を投げつける。これが警察の本来の姿ではあるまい。「市民との丁寧な対話」を業務の本分に据えてはどうか。

 

【政治地獄耳】「身を切る改革」維新が万博推進では支持につながらない - 日刊スポーツ(2024年4月24日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202404240000055.html

★21日投開票のあった大阪・大東市長選挙。大東市日本維新の会幹事長・藤田文武(大阪12区)のおひざ元。現職市長が3期務めて引退。新顔同士の対決となったが、大阪維新の会公認の前市議らを破り、無所属の新人で元大東市職員が当選を果たした。さすがに大阪で圧倒的に強い維新が取りこぼすとニュースになるが、22年3月の兵庫県西宮市長選の敗北、23年の9月の茨城県牛久市長選の新人の落選、10月の奈良県橿原市長選では前市長が落選。11月の京都府八幡市長選での新人の落選、同月の神奈川県海老名市長選でも新人(推薦)が落選を喫している。

★首都圏はとにかくも大阪、兵庫、奈良、京都という近畿圏の首長を取りにいく戦略は功を奏さず、かげりが見え始めたと評す声もあるが、大阪の衆院選挙では毎回、各党とも全く歯が立たない。もし大阪の有権者が地域の首長と東京で自民党やほかの野党と論戦を戦わせる役割を承知で投票行動を分けているのなら、なかなかなものだが、その背景には「身を切る改革」を掲げる改革政党としての維新のイメージが強く浸透しているということになる。だが維新が積極的誘致を決めた大阪・関西万博は会場建設費が膨らみ、建設工事の遅れも深刻化していることなどが背景にあるのだろうか。

立憲民主党はさまざまな分野で繰り広げられる野党共闘を念頭に、万博の費用問題や工事の遅れについての政府への批判すら封印している。政府批判もストレートに維新批判につながるからだ。東京の自民党関係者が言う。「確かに維新の勢いは下がってきている。身を切る改革と万博推進が東京ではなかなか重ならない」。立憲関係者も「改革路線は自民党支持者以外の業界団体などの活動も既得権のように扱い、否定的に見ているというただの壊し屋のイメージが強い。それでいて、いざとなると自民党を助けかねないという思いは有権者の方に強くある」。改革を叫ぶ自民党支持ではつじつまが合うまい。(K)※敬称略