<金口木舌>同性カップル、なぜ「他の親族」に? - 琉球新報(2020年9月19日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1193820.html

国勢調査員が持っている手提げ袋がフリマアプリで出品されていたことが分かり、総務省がアプリの運営会社に出品の取り下げを要請した。出品は調査員への信頼をおとしめる

▼今年は5年に一度、国が実施する国勢調査の年。14日から調査票の配布が始まっている。調査は国の最も基本的な統計と言われる。全世帯の情報を集め、政策立案につなげる。地方交付税の算定根拠や衆院選挙区の区割り、交通対策にも活用される
性的少数者への認知度が高まる中、同性のカップルから批判の声が上がっているのが「世帯主との続き柄」という調査票の記入欄だ。総務省によると婚姻関係のない男女の事実婚は「配偶者」として集計される
▼同性のカップルは本人が「配偶者」と記入しても集計段階でおじ、おばらと同じ「他の親族」に分類され、世帯としては「他に分類されない親族世帯」に区分けされる。住居と生計をともにしても「世帯」と見なされないのが現状だ
▼実態が結果に反映されなければ、各施策から同性カップルのニーズがこぼれ落ちてしまう。レインボー国勢調査プロジェクトは8月、総務省に要望書を提出し同性カップルを調査対象として集計・発表するよう求めた
国勢調査は1920年に始まり今年100年の節目を迎える。調査の精度を高めるために固定化した家族像を見直す時期に来ている。

 

(2020年9月18日) 前首相の「遺言」ちりばめられている - 日刊スポーツ(2020年9月18日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202009180000073.html

★首相・菅義偉の一連の会見での発言を整理すると、秋冬のコロナ禍拡大の可能性をはらむことを鑑み、早期の解散総選挙で菅政権を信任させようという考えはないと感じる。党総裁になった直後から「仕事がしたい」は本音だろう。ただ、就任会見で安倍内閣での自慢話をされても国民はなえるばかりだ。一方、菅政権を作った5派閥にはそれぞれ思惑がある。安倍かいらい政権ならば、しばらく菅が首相を続けてもいいと考えるのは細田派だけだろう。同派は首相候補がいないため時間稼ぎが必要となる。ほかの派閥、ことに竹下派麻生派は「うちが協力しない限り菅政権は続かない」という思いだろうし、いつ岸田に代えてもいいとの考えだろう。いずれも「閣僚ポストぐらいで納得はしない」という気持ちが見え隠れする。

★気になる組閣のポイントは何か。1つは、菅が竹下派官房長官を渡したことで、官邸内の情報が漏れることになる。竹下派は、首相をけん制する形になった。派閥を持たず党内基盤の弱い菅には今後、どの程度の党内情勢が耳に入るか。頼りは幹事長・二階俊博ら党3役だろうが、複雑な情報戦が始まるだろう。

★加えて、この内閣には前首相・安倍晋三の「遺言」がちりばめられている。1つは弟の岸信夫の処遇。外相とまではいかないものの防衛相を充てた。そして、再登板となった法相・上川陽子だ。上川は前回の法相時代にオウム真理教事件の13人の死刑囚の死刑を執行。法相として司法界に大きな影響力を残した。政界関係者が言う。「上川には、元東京高検検事長・黒川弘務のかけマージャン問題で廃案になった検察官の定年延長を認める検察庁法改正案の再提出と、元法相・河井克行夫妻の裁判対策の特命があるのではないか」。きわめて難解な「遺言」だ。(K)※敬称略