<金口木舌>「立ち直りの支援」に向けて - 琉球新報(2024年7月7日)

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ドキュメンタリー映画「プリズン・サークル」は、刑務所の教育プログラム(TC)を記録した。受刑者同士が対話を通して自らの犯罪に向き合う姿を追う
▼虐待や貧困など受刑者たちの厳しい幼少期が対話から明らかになる。自らが受けた痛みを認知することで、受刑者は被害者を傷付けた事実に思い至る。加害の重さに涙する姿が印象的だ

▼映画の舞台「島根あさひ社会復帰促進センター」は、官民協働の新しい刑務所だ。他にも、発達障がいなどがある受刑者を専門に収容する刑務所も昨年、千葉県に開設された。閉ざされた施設にも新しい動きを感じる
▼来年6月には改正刑法が施行される。刑務作業が義務でなくなり、立ち直りに必要な教育に重点が置かれる。大きな転換期となるだろう
▼刑期を終え、受刑者は社会に戻ってくる。映画を撮った坂上香監督は、TCで大切なものとして「安心して語れること」と力説する。彼らが社会で直面する悩みや不安を安心して語られる場があるべきだろう。受け入れる社会も変化を求められている。


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