【政界地獄耳】安倍元首相が「深刻」と警戒したLGBT問題 - 日刊スポーツ(2023年5月24日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202305240000043.html

産経新聞23日付「主張」ではLGBT推進法に「廃案の道しかない」と訴えている。記事では「申告により性を決める『性自認』がまかり通れば、女性であると自認した男性が、女子トイレや女湯に入るなどの混乱が予想される。スポーツ競技の女子種目への出場を認めるのかという問題もある。極めて危うい内容と言わざるを得ない」と指摘する。確かにこの推進法は理念法で何が良くて何がダメという記述や解釈はない。そして「LGBTを巡る問題にどう向き合うべきか、慎重な議論が必要だ」としている。

★また22日、産経新聞系のZAKZAKには、麗沢大学教授・八木秀次のインタビューが掲載され、元首相・安倍晋三が「LGBT問題を重視・警戒していた。極めて深刻な問題といえる」と語っていたと指摘、「私との対話の中でも、安倍氏LGBT問題と、皇位継承の関連について言及していた。法制化後に発生する弊害を読んでいた」とこの問題の本質を語っていたことを述懐している。

★欧米の常識を例に挙げて日本の非常識を憂う場合が往々にあっても、この問題ばかりは幾らG7の各国が説得しても、欧米で認められているからといっても横並びに扱うことが簡単ではないということだ。だからこそ「主張」が言うように慎重な議論が必要なのだが、だからこそ議論を封印し避けてきたため、実態先行で世界からガラパゴス扱いを受けている。いわば議論自体を危険視するあまり、また歴史的経緯や文化の経緯を知らぬまま、欧米の常識を受け入れるだけの状態が続いていたのではないか。本当は日本と日本人のために、国会でも社会の中でも丁寧な議論が必要だ。その議論の末、なおLGBT同性婚に寛容な社会が生まれるのか否か。「皇室の危機=皇位継承問題に関わる憂慮」とLGBT同性婚が並列に語られるべきか、その延長線上にあるかの議論が社会の中に結び付いていないことの啓蒙(けいもう)が足りなかったことはないか。(K)※敬称略