【政界地獄耳】電通と自民党 今まで通りなのか - 日刊スポーツ(2023年2月17日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202302170000061.html

★連日の報道で国民はうんざりだが、報道を総合すると東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの談合事件で、大会組織委員会による発注が始まる2年前の16年、「電通」は社内会議で「入札を有名無実化して電通の利益の最大化を図る」とした社内方針を固め、談合を組織的に進めていた疑いが濃厚で、東京地検特捜部もこの資料に重きを置いている模様だ。それに伴い大手広告代理店の関与が軒並み発覚。

★昨年来のこの疑獄に対して、今さらながら経産省文科省が入札資格を一定期間停止する措置を検討しているというが東京都、愛知県、大阪府などは既に入札停止措置を講じている。それでなくとも電通はコロナ対策の持続化給付金事業でも、受託した団体が電通に大半を再委託していて批判を受け20年7月から約半年間、経産省事業の入札を停止している。談合疑獄に対して昨年末、東京地検特捜部から任意聴取も受けていた元五輪組織委員会会長・森喜朗は「当時の会長として申し訳ない。皆さんにおわび申し上げたい」としながらも組織としてではなく事件に関与した「個人の問題」を強調したが、ここまで組織的だと説明がつかない。

★「愚か者」と叫んだことしか話題に上らない21年4月、当時の五輪相・丸川珠代衆院決算行政監視委員会で、組織委員会が企業に業務委託する際の人件費単価について「守秘義務で見せてもらえない資料がある」と答弁している。「中抜き業者」が話題になった時のことだ。つまりすべてがブラックボックス化していたが、13日の衆院予算委員会文科相永岡桂子は疑獄を受け「今後不正行為が明らかになり、仮に国費が過大に支出されている場合には、返還を命じるなど法令にのっとって厳正に対処する」と踏み込んだ。一方、札幌冬季五輪招致はこの疑獄で頓挫しているが、招致が決まれば再び電通が取り仕切るし、そもそも自民党の広報活動の一部や選挙には電通が大きく関わる。そこは今まで通りなのか。(K)※敬称略