<金口木舌>残念な一致 - 琉球新報(2023年1月28日)

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「なぜ沖縄から建白書が出たのか。後世の国民、研究者が検証可能にしないといけない」。今は亡き前衆院議員の照屋寛徳さんが5年前に残した言葉は現在に通じる

▼2013年1月28日、オスプレイ配備撤回と米軍普天間飛行場の県内移設断念などを求め、県内全41市町村の首長や県議らが署名した「建白書」が安倍晋三首相(当時)に手渡された
▼沖縄の「総意」で異議を申し立てたことは画期的だった。その重要さの裏返しか。政府は建白書を破棄しようとした。だが、寛徳さんが国会で保存を訴え続け、20年に国立公文書館へ移管された
▼今、別の歴史的文書が危機にある。日米両政府は宮古島市下地島空港の軍事利用をもくろむが、「屋良覚書」「西銘確認書」によって、かろうじて食い止められている
▼政府関係者からは「空港利用の調整権限が県にあると確認しただけ」と覚書の意味を「破棄」しようとする言葉も噴出。これも重要さの裏返しか。歴史的文書を死文化しようとする政府の言動の一致。それは民主主義の破壊につながりかねない。