【政界地獄耳】見え隠れするお粗末な防衛実態 - 日刊スポーツ(2023年1月18日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202301180000053.html

★防衛費増額や日米同盟の深化など、防衛省や安全保障関係者にとってはこの世の春かもしれないが、実態はお粗末なものではないのか。山口県周防大島沖の瀬戸内海で海上自衛隊護衛艦「いなづま」が自力航行できなくなった事故で海上自衛隊は船尾の底にある2つのスクリューがいずれも損傷していただけでなく、船首部分にも亀裂などがあったと説明。17日、防衛相・浜田靖一は会見で「国民の皆様にご心配をおかけし、誠に申し訳なく思う。心からおわびする」としたが海上保安庁は航路から外れていなかったかなどを調査、業務上過失往来危険容疑も視野に入れている。

★元防衛相・石破茂は13日のブログで「ドックでの定期検査を終えて呉基地に戻る中途の公試中に発生した事故だということで、造船所との関係はどうなっているのか、『ドックマスター』(船渠長)は乗艦していたのか、誰がいかなる権限を持って操艦していたのか等々、単に自衛隊の管理下にあった場合よりは複雑なようですが、事実の確認そのものはそれほど困難なことではないようにも思います」と指摘しているが、海自からその説明はない。

★一方、17日の琉球新報は元防衛相・小野寺五典が米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)移設に伴う名護市辺野古新基地建設の業者、建設環境コンサルタント会社「いであ」の会長が代表理事に就く公益財団法人「いであ環境・文化財団」の評議員を20年7月から務めていることが明らかになったと書いた。その報酬が高額か否かよりも、その関わり方だ。清廉潔白と言いたいならば、評議員などにならなければいい。それともこの立場は表向きで背後には別の問題があるのだろうか。小野寺はこの安保3文書改訂にも深く関わったといわれる。だからこそ律するべきではなかったか。防衛論が急激に安っぽい話になる。(K)※敬称略