【政界地獄耳】どう国民と向き合うのか示さぬ岸田首相 - 日刊スポーツ(2023年1月3日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202301030000036.html

★首相・岸田文雄は1日、年頭所感を発表した。昨年起きたロシアによるウクライナ侵攻や元首相・安倍晋三の銃撃事件、物価高などをあげ「歴史の分岐点を迎えている」とし、「戦後日本が積み残してきた多くの難しい問題、『先送りできない問題』に、正面から立ち向かい、ひとつひとつ答えを出していく」と表明した。この発言を国民が共有できたかはさておき、国民不在で歴史の分岐点を作り出し、答えを出していくときに、どう国民と向かい合うのかが示されていない。首相の思いの物足りなさだ。

★岸田の師匠格にあたる前宏池会会長で元自民党幹事長・古賀誠は昨年、東京新聞のインタビューで敵基地攻撃能力の保有に懸念を示し「完全に専守防衛を逸脱してしまう」と危惧を示し「少なくとも国民にきちんと説明しなければならない」と注文をつけた。一方、天皇陛下は年頭に感想を文書で寄せ、「昨年も地震や台風、大雪などの自然災害が各地で発生したほか、新型コロナウイルス感染症が引き続き社会に大きな影響を与えた年になりました。また物価の高騰なども加わり、皆さんには御苦労も多かったことと思います。昨年は沖縄の本土復帰から50年という年でした。皇后と共に沖縄県を訪れ、沖縄戦で亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、平和の大切さを改めて心に刻みました。現在も世界各地で戦争や紛争が頻繁に起こり、多くの人々の命が失われていることに深い悲しみを覚えます。国際社会において、それぞれの立場の違いを乗り越えるべく対話を重ね、協力し合うことの大切さを強く感じます」と岸田が思い及ばない内容に心を砕いた。

★年末、「徹子の部屋」に出演したタモリが番組終盤で、黒柳徹子から「来年はどんな年になりますかね」と尋ねられると、少し考え込んだ様子で「誰も予測できないですよね。でもなんて言うかな。新しい戦前になるんじゃないですかね」と答えたことがネットで話題だ。岸田に足らざるものが見えてきた年始となった。(K)※敬称略