<金口木舌>友好の欺瞞と島の基地化 - 琉球新報(2022年11月13日)

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2007年、与那国島の祖納港に米海軍の艦船が「友好親善」を名目に初寄港した。町や県は寄港の自粛を求めたが、米側は歓迎会の開催まで要求。「押しかけ友好」と言われた

▼初寄港から15年。自衛隊と米軍の共同統合演習「キーン・ソード23」が始まった。米軍は自衛隊与那国島に調整連絡所を設置。初めて与那国で「訓練」を実施する
▼親善目的だったはずの寄港だが、その後流出した米公電で、当時のケビン・メア在沖米国総領事が与那国を「台湾有事の作戦拠点になり得る」と報告していたことが判明。祖納港や与那国空港の利用価値を強調していた
▼キーン・ソードでは自衛隊与那国空港を利用する。自衛隊が前面に立つが、共同演習の枠組みで米軍による利用可能性も探るのだろう。政府は下地島空港など先島の空港や港湾の軍事利用も検討を進めている
▼米政府で沖縄返還交渉に携わったモートン・ハルペリン氏は、当時の米軍部に「沖縄そのものが軍事基地だ」と言われた。言葉通りになろうとしている状況に空恐ろしさを感じる。