【政界地獄耳】岸田首相独特の話法に勢いをそがれた野党 - 日刊スポーツ(2022年10月18日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202210180000057.html

★17日、予算委員会がスタートした。野党質問も始まったが、ことに旧統一教会問題では手ぐすね引く野党の質問が始まる前に与党の質問を受ける形で首相・岸田文雄が旧統一教会問題について「報告聴取、質問権の行使に向けた手続きを進める必要があると考えており、文科相に速やかに着手させます」と答弁。宗教法人法に規定されている「質問権」を初めて使い、組織の実態を調査する方針を表明した。また首相は「私自身は知る限り、旧統一教会とは関係を持たずに政治活動を行ってきたが、関係を持たない私が責任を持って未来に向けて、この問題を解決したい」とまで踏み込んだ。

★先手を打たれた野党は独自調査やスクープ性のある質問も出ず、国民からの辞任要求の高い経済再生相・山際大志郎への厳しい質問も出なかった。攻める材料はたくさんあるが、旧統一教会以外にも物価、円安、働き方、マイナンバーと聞きたいことも多い。野党は的を絞り込めていないのではないか。一方、立憲民主党と日本維新がまとめた高額献金などを防ぐ被害者救済法案に盛り込まれた「特別補助制度」について首相は「法改正が必要だという認識も野党側と一致していると思う。具体的な方法については政府として至急対応を詰めていき、できる限り早く法改正の結論を出したい」と前向きな姿勢を示した。

★いずれも時間稼ぎや前向きなだけで「やる」といわない手法など本来は突っ込みどころ満載だが、なんとなくこれで野党も国民も納得してしまうところが岸田の独特の話法といえる。首相から見れば衆参の野党質問さえ乗り切ればという思いだろう。だがそんな小手先では納得しないという舌鋒(ぜっぽう)鋭い質問や、独自調査で空転させるほどの材料を野党は持ち合わせていないのか。代表質問の時の勢いはそがれたか。今日も野党質問が続く。(K)※敬称略