https://www.tokyo-np.co.jp/article/195967
大学時代、学生が非行少年と関わる家庭裁判所主催のボランティアに参加していた。相談相手のほか、地域の清掃やグループワークをともに行い、二十人以上の少年と関わった。
非行少年に対する怖いというイメージは、活動を通して払拭(ふっしょく)された。自分の性格について語り合うワークで、私が「周りの人の状況を見られなくなることがある」と悩みを打ち明けると、「それは一つのことに向かって頑張れるということで、良いことでもあると思う」と返してくれた。一方で、突然涙を流したり、ワークへのやる気のなさをあからさまに表現したりする姿は、年相応のものだった。
今年四月、十八、十九歳を「特定少年」と位置付け、厳罰化とともに起訴時の実名報道を可能とする改正少年法が施行された。処罰は必要だが、過去の犯罪が実名とともにインターネット上に残った場合、社会生活を送る上で大きな支障が出るだろう。
特定少年の四文字を目にするたび、あの時出会った少年ひとりひとりの顔が思い浮かぶ。非行から立ち直ろうとする若者の歩みを、妨げる社会であってほしくない。(鈴木みのり)