【政界地獄耳】13兆円賠償判決の直後「よくも言えた」岸田首相の原発稼働発言 - 日刊スポーツ(2022年7月19日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202207190000129.html

★14日、首相・岸田文雄は、電力需給が厳しいとされるこの冬について、原発を最大9基、火力発電所を10基稼働させ電力の安定供給に取り組むとした。11年前の福島第1原発事故以降、常に国論を二分してきた原発の再稼働問題に、黄金の3年間に突入した岸田が踏み込んだのは原発再稼働からだった。今の段階からこの冬の電力供給不足を打ち出すことで国民の理解を得ようとしているのはわかるが、今稼働している9基以外となれば高浜原発3号機、4号機はこの春以降、相次いで蒸気発生器と呼ばれる機械に損傷が見つかっている。また美浜原発3号機は、運転開始から45年が過ぎていて老朽化が問題。つまり新規の“安全”な原発を造らないと、電力不足は深刻だというのだ。

★それなら新幹線の数倍の電力消費をするリニア新幹線の中止を検討するとか、同時に議論することがありそうだが、そこは一切触れない。国民に努力を課すことはいとわない、いびつな政策なのがわかる。岸田の会見でも核のゴミ処理や、原発の安全性についても一切触れなかった。その一方、「国が前面に立ち、立地自治体など関係者の理解と協力が得られるよう粘り強く取り組む」とした。

★岸田会見の前日には東京地裁東京電力福島第1原発を巡り元役員の4人に13兆円の賠償が命じられたばかり。共産党書記局長・小池晃は「超巨額の賠償判決が出た直後によくもああいうことをいえたものだ。判決を見ていないのか。原発を稼働させるということが、いかに重大な責任を伴うものかということを示す司法判断が出た」と厳しく指摘した。安全性の担保なく稼働となれば、原発政策は電力各社から切り離し国が責任と運用を行うしかないのではないか。立場をはっきりさせてはいかがか。すべての責任は国が負うと。(K)※敬称略