<金口木舌>亡くなった人たちは聞いている - 琉球新報(2022年6月22日)

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私たちは、あなたたちのことを忘れない―。きっぱりとした意思表示のように思えた

▼「沖縄『平和の礎』名前を読み上げる集い」で17日、朝鮮半島出身者の読み上げがあった。「平和の礎」に刻銘された24万人余りのわずか464人。追加刻銘は進まず、一部にとどまる
▼終了後、ある参加者が、韓国語の勉強仲間に声をかけたが、仲間から知らんぷりをされたと話した。「これ誰か聞く人いるの?」そう言われたという。韓国出身の南成珍さん(52)は「亡くなった人たちは聞いていると思う」と答えた
▼南さんは犠牲者の多い慶尚北道の出身。「おじいやひいおじいだったかも。どんな思いで遠い沖縄で亡くなったのか」と想像しながら読み上げたという。日韓関係の改善と平和な社会に向けて頑張りたい、という言葉に他の参加者は胸を詰まらせた
▼沖縄の周辺で軍事的緊張が高まる今こそ、仲良くすべきは隣り合う国や地域だ。かつてアジアを侵略し戦争に突き進んだ日本。友好関係は、加害という過去の過ちを見つめることから始まる。