【政界地獄耳】細田発言とアベノ選挙区事情の相関関係 - 日刊スポーツ(2022年6月7日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202206070000041.html

衆院議長・細田博之の一連の「10増10減」批判と元首相・安倍晋三の冗舌には相関関係があるようだ。「昨年暮れ、元々参院議員だった外相・林芳正が地元山口で世論調査をした。すると現在の安倍の地盤であり、林の父である元蔵相・林義郎中選挙区制時代の地盤の下関で安倍より林の方が調査で上回ったという。そこで林は下関でパーティーを開こうとしたものの直前に中止した経緯がある」とは地元自民党関係者。

★一方、防衛相・岸信夫の体調不安。今国会では岸の体調に配慮して専用の答弁席が設けられ座ったまま答弁した。岸の大臣秘書官は20年10月にフジテレビを退社した息子の信千世が就いているが安倍には子供がおらず信千世は安倍の地盤を継ぐ後継者と目されていた。「ところが岸の体調を考えれば岸の後継者に信千世が座ることになりそうで、そうなると安倍の地盤を継ぐ後継者が宙に浮くことになる」(清和会関係者)。

★その焦りが減員区となる山口選挙区の状況と重なり、忖度(そんたく)した細田発言に連なるのではないか。そして安倍の露出を際立たせているのではないか。安倍は4日、講演で「ロシアにはだまされた感があった」と日ロ首脳会談を27回も重ねたものの成果がないことに言及した。その間幾らの税金が使われたか。ご本人は首相時代の成果だと思っているが国民はそうでもないものもあるのではないか。16年12月に日本側がロシアに経済協力などを提案した「8項目の協力プラン」は官民規模で3000億円、国からは196億円が投じられている。ウクライナ侵攻以降の取引は停止されているが「だまされちゃった」で済むのだろうか。またアベノミクスの成果を強調し国の借金が1000兆円を超えても「心配しないでほしい」とも述べている。最も「日銀は政府の子会社みたいなもの」との考えではそうなるのかもしれない。すべては選挙区事情につながる。(K)※敬称略