【政界地獄耳】公務員の不祥事を国民は忘れない - 日刊スポーツ(2022年6月4日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202206040000170.html

霞が関の官僚の不祥事ぐらいで国民はもう驚かなくなっているが自衛官や警察官、消防士など制服を着た公務員の不祥事も後を絶たない。高い倫理観を持ってなどと言っても始まらない。公務員の不祥事に国民も極めて敏感だ。「人の税金で働いている(くせに)」という刷り込みが強く公務員の事件にメディアも強く反応する。国会議員も不祥事は多いが、こちらに高い倫理観を持って欲しいという思いは、国民の中に既についえているのではないか。つるし上げやすい相手なのでニュースは瞬く間に広がる。

★公務員はまじめできちんとしていると期待されているし、公僕という言葉の崇高さとそれに対する畏敬の念が国民にあったころの名残があるだろう。そもそも公務員への批判は政策や待遇へのいら立ちが根底にあり、不祥事発覚で爆発するのかもしれないが、その国民の公務員アレルギーに拍車をかけたのが複数の東京国税局職員の男が新型コロナの持続化給付金をめぐり約200人に不正申請させ総額2億円余りの巨額詐欺事件で逮捕された事案だ。

★2日、官房長官松野博一は「高い倫理意識を求められる公務員がこのような事態を招いたことは誠に遺憾だ」とこの事件に異例の言及をした。この場合、不正受給は後を絶たないし、同様の事案では経産省の役人も既に逮捕されている。新しいものではない。いつもの公務員の不祥事だ。ただ、国民の関心は「国税庁の職員」であること。人の懐に容赦なく入ってくる国税庁は絶対的な公正中立、倫理観、信頼が求められる。そこが揺らいだら日本の納税体系は崩れるといえる。実は20年12月にも東京国税局の甲府税務署員が逮捕、起訴され有罪になっている。参院選挙前だから松野は反応したのだろうが、国民はこういうニュースを忘れない。(K)※敬称略