【政界地獄耳】「パワハラ指導」は人権侵害 政治の介入許さずスポーツ界で解決すべき - 日刊スポーツ(2022年4月28日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202204280000068.html

熊本県の私立高校サッカー部で、30代の男性コーチが部員に暴力を振るったとして、熊本県警は26日までにコーチを暴行の疑いで書類送検した。コーチは既に退職願を提出しているが27日現在学校預かりだ。暴行動画がネットに拡散され、ネットにアップした部員が叱責(しっせき)される音声がこちらもネットで拡散、また部員が反省のメッセージをネットにあげるなど、すべてがネットで完結している。どうやら学校側に対して部員が抵抗しているようにも見える。

公益社団法人日本プロサッカーリーグJリーグ常勤理事・佐伯夕利子はリーグ公式noteに「暴言・暴力をはじめとするあらゆる『ハラスメントとの決別』を改めてここに誓う」と記している。一部を抜粋する。「パワハラ指導は指導法の一種ではない。日本スポーツ界はこれまで何度か海外の人権団体などから、スポーツ現場における暴言・暴力をはじめとする『人権侵害』について厳しい指摘を受けてきた。怒鳴る、蔑む、見下す、罵倒する。小突く、叩く、はたく、ぶつ、殴る、蹴る、倒す。『厳しい指導』など、世界中どこを探しても、そんなコーチング学やコーチンメソドロジー(指導方法論)は存在しない。こうした『パワハラ指導』は傷害、暴行、名誉棄損、侮辱といった犯罪に過ぎず指導方法でも何でもない」。

★だから、もうそろそろ「厳しい指導方法」などと都合のいい言い訳に逃げることなく、パワハラ「指導」は「尊厳の迫害」そして「人権侵害」以外に解釈の余地などないことを、スポーツ界全体で再認識したい。間違えてはならないのは、Jリーグが決別を誓うのは、あくまでこれらの「行為」であり「行為者」ではないことである。東京五輪招致決定を前後し、トップアマスポーツやプロスポーツパワハラは一部露見したことで改善の道筋をつけた。だがアマスポーツの指導者や、取り巻く環境や意識が不十分なのは佐伯の指摘の通りだ。大切なのは政治の介入を許さずスポーツ界で解決すべきということだ。(K)※敬称略