【政界地獄耳】提案できない野党で緊張ない国会 - 日刊スポーツ(2022年4月27日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202204270000070.html

参院選挙が近いというのに与野党に緊張感がまるでない。26日に開かれた自民党政調審議会で党政調会長高市早苗は、立憲民主党政調会長小川淳也が国家安全保障戦略改定のための党内議論について「悪乗り」などと評したことに「議論はロシアのウクライナ侵略が始まるずっと前だ。誤った認識に抗議したい」とかみついた。今まで党内の幹事長・茂木敏充とのバトルばかりが続いていたので、自民、立憲の政調会長のバトルにメディアは飛びつき、派手に書き立てたが、中身が空っぽでは後が続かない。

★小川も自民党と違いがわかる政策論争を仕掛けるのならばともかく、表面的なさや当てではヤジの類にしかならない。もう少し提案型野党なら積極的な議論喚起の仕掛けをすべきではないか。立憲の考える国家像がないまま、対処法のようなかみつき方では提案型野党の名が廃る。そもそも提案すべき国家観に基づく政策がないのではないか。

★一方、ウクライナ外務省が公開した支援国への感謝動画に日本の名前がないとか、同政府が4月上旬、公式ツイッターに投稿した動画で、ヒトラーやムソリーニと昭和天皇を並び立てたことに関し自民党議員が怒り出した。25日、官房副長官・磯崎仁彦は「ヒトラーとムソリーニと昭和天皇を同列に扱うということは全く不適切で極めて遺憾。(ウクライナ政府に)当該写真が不適切であり直ちに削除するように申し入れた」とした。だが世界の認識は日独伊三国同盟はまぎれもない事実で、その3カ国の元首という認識だったのではないか。昭和天皇の並列への不快感は東京裁判などでの連合国の裁定が2人と異なることを前提にしているのだろうか。しかし、軍国主義国家とファシズムの違いを日本人も正確に答えられるかといえば心もとない。資金を用立てたことは感謝されたいが、日独伊三国同盟は忘れたいとは都合のいい話だ。(K)※敬称略