<金口木舌>耳を傾ける相手 - 琉球新報(2022年4月24日)

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犯罪抑止効果をうたい日米地位協定の「補足協定」の締結にこぎ着けた外相はケネディ駐日米大使と共に署名し、「運用改善とは一線を画す画期的なものだ」と誇らしげな表情で自賛していた

▼2017年1月。日米両政府は前年の米軍属女性暴行殺人事件を受け、加害者と同じ契約業者従業員を軍属から切り離した。当時、東京報道部の記者として取材していたが、次々と疑問が湧いた
▼軍属の対象外となる人数は不明。地位協定で守られ続ける軍人・軍属は何も変わらない。そもそも沖縄が求めたものではない。県が求めるのは地位協定の抜本的な改定だ
▼あれから5年。新たに米海兵隊上等兵が強制性交等致傷罪で起訴されていたことが判明した。今回は地位協定に絡む問題はみられなかったが、過去には基地内監視下にある米兵が共犯者と口裏合わせしていた
▼かの外相は岸田文雄氏。今の首相だ。実効性のある犯罪抑止策を講じるため、得意とする「聞く力」は米国ではなく県民(国民)にこそ発揮すべきだ。耳を傾ける相手はここにいる。