【政界地獄耳】政府が国民に銃を向ける危機とは - 日刊スポーツ(2022年4月12日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202204120000070.html

★6日の衆院外務委員会で共産党国対委員長穀田恵二は質問に立ち、19年10月に旧陸軍人や自衛隊元幹部らの親睦団体「偕行社」で当時の陸幕長・湯浅悟郎が講演し、「グレーゾーン事態にどう対応するかを考える。これらは報道戦、テロ行為、扇動による反戦デモなど多様な形態がある。この事態の特徴は、国家が非常事態であると認識する以前に反戦気運などを高めて国家崩壊へ向かわせてしまう危険性があること」と話し、報道や反戦デモが防衛省では危険視され監視対象という認識だ。

★委員会でただすと防衛副大臣・鬼木誠は「誤解を招く表現であり、不適切だった」と認めたが、それ以上の調査については「『合法的な反戦デモ』をグレーゾーン事態と位置付けたことはない。反戦デモの記述の有無を網羅的に調査する必要はない」とした。だが08年11月、当時の空幕長・田母神俊雄の論文「日本は侵略国家であったのか」は政府見解と異なるとして田母神は更迭、退官となっている。湯浅も19年12月の月刊誌『偕行』で講演と同様の記述があり政府見解と異なるが湯浅が咎(とが)められた様子はない。ただ閣議決定された中期防整備計画で湯浅の独断で取得予定の輸送艦艇の予算要求をしなかったことで昨年3月、退官したといわれている。いずれの行動もシビリアンコントロールの逸脱といえる。

★6月に公開されるドキュメンタリー映画『スープとイデオロギー』済州島で生まれ、1948年4月の「4・3事件」に遭遇したヤン・ヨンヒ監督の母、康静姫(カン・ジョンヒ)の話だ。済州島武装蜂起した人たちが武力鎮圧された際、大勢の無関係の村人が軍や警察に虐殺された事件。大阪に逃れ九死に一生を得た母親は政府が国民に銃を向けたことから政府を信用できなくなったという話だ。防衛省や国会はもっとこの話を重く受け止めるべきだ。(K)※敬称略


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