【政界地獄耳】細田博之、自らまとめた選挙制度批判は衆院議長辞めてから - 日刊スポーツ(2022年4月7日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202204070000066.html

★09年、12年、14年と最高裁は3度の衆院選で1票の格差を「違憲状態」と判断し、国会に是正を勧告し続けてきた。16年に衆院選挙改革関連法の成立で1票の格差是正のためアダムズ方式の導入が決定。宮城・福島・新潟・滋賀・和歌山・岡山・広島・山口・愛媛・長崎の10県で各1選挙区が減少し、東京が5選挙区、神奈川が2選挙区、埼玉・千葉・愛知で各1選挙区が増加。比例代表も東京ブロックが2、南関東ブロックが1増え、東北・北陸信越・中国の各ブロックが1ずつ減る。これは国勢調査の最新人口動態から機械的に算出される方式だが、次期衆院選から導入されるため異論が出ている。

★減員区のみならず自民党議席を独占した滋賀、岡山、山口、愛媛でも批判は出ているが、野党というより地方の有権者与野党関係なく都市部の議席が増え、地方の議席が減ることに批判がある。しかしこの法律は衆院議長の諮問機関「選挙制度に関する調査会」で各党代表が議論を尽くし16年に可決したものだ。当時の自民党からは現衆院議長・細田博之が参加していた。ところが昨年12月20日細田はこの制度について「頭で計算した数式で地方を減らして都会を増やすだけが能ではない。政治はそういうもんじゃない」と発言、5日にも「地方いじめのような、都会だけ増やすようなことはもうちょっと考えたらどうか」と自らまとめた案を批判している。

★地方選出の議員は地方の議席が減り都会が増えると言うが、そのルールには人口比という明確な基準があり地方いじめでもなんでもない。細田はそれを承知であおっているが、そもそも自民党時代は選挙制度に精通する議員だったが今は衆院議長。最高裁長官、首相とともに三権の長最高裁の勧告に従って決めたものをひっくり返そうというのだから穏やかではない。この発言を続けるのならば、民主主義を守るため衆院議長を辞めて発言してはどうか。(K)※敬称略