<金口木舌>児童福祉のひずみ今なお - 琉球新報(2022年1月8日)

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放課後や休日に子どもたちが集まり、食事をしたり遊んだり、時には支援員に悩みを聞いてもらう。家庭的な雰囲気の「子どもの居場所」が増えている

▼県調査では241カ所あり、調査開始以来、最も多い。子どもの貧困解消施策の一環で公的補助が受けられるようになったことも大きい。県政は2016年度から子どもの貧困解消に本腰を入れている
▼とはいえ、沖縄の子育て家庭の貧困率は全国ワーストクラス。子育て世代の低賃金の問題、公的な児童施設の不足、児童虐待の対応件数の高止まりなど貧困に関連する課題は山積みだ
▼沖縄の戦後福祉は、戦争孤児を集めた米軍管理下の「孤児院」から始まった。劣悪な環境で子どもの命と人権は守られなかった。米統治下で児童福祉法の適用は本土より6年遅れ。福祉施策のひずみが今の貧困問題につながっていると言われている
▼復帰50年の節目を迎えた。人なら「天命」。与えられた役割を悟る時期だ。子どもが健やかに育ち、夢を描けるような環境をつくる。大人に課せられた役割なのだろう。