<金口木舌>歩み振り返る1年に - 琉球新報(2022年1月5日)

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沖縄戦研究者の吉浜忍さん(72)が先月、これまでに書き記した沖縄戦に関するコラムや高校教師時代の思い出を一冊の冊子にまとめた。タイトルは「教えることは学ぶこと」

▼第1部の沖縄戦を読めば、沖縄戦研究と平和学習の実践の足跡をたどることができる。第2部は高校編。吉浜さんが気に入っているのは、こちらだという
▼コーラの空き缶で作り上げた守礼門、女子生徒とその彼氏を巻き込んだ久高島祭祀(さいし)の模型作り、黒船の模型を作り泊港を走らせたことなど、生き生きとした学園生活の様子が描写されている
▼初めて赴任したのは久米島高校。1972年、日本復帰の年だった。「復帰を考える」全校討論集会で、島への自衛隊駐屯を巡り生徒と激論を交わした。沖縄戦での日本軍による住民虐殺を想起させる問題となっていた
▼今年は復帰50年。当時の高校生も、もう60代後半。今の沖縄をどう見つめているだろうか。復帰前の沖縄、復帰後の沖縄。忘却のかなたにする前に、自らの歩みを振り返る、そんな一年にするのも良いだろう。