<金口木舌>復帰100年への一歩 - 琉球新報(2022年1月1日)

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突然、教室に爆音が響き、先生の声が聞こえづらい。米軍普天間飛行場に隣接する沖縄国際大で学んでいた当時の体験だ。防音が不十分な教室の場合、米軍機が上空を通過するたびに集中力が途切れ、講義が中断したこともある
▼4年次に米軍ヘリが構内に墜落し住宅地や学校の間近に基地がある危険を実感した。墜落から8月で18年。生活圏の上空を米軍機が飛ぶ状況は変わらない
▼故・大城立裕さんの小説「普天間よ」の終盤、主人公の女性が琉球舞踊を舞う中、米軍ヘリの爆音が稽古場に響く場面がある。ヘリが去っても踊りは音楽と調和し乱れない
▼大城さんは「爆音にあらがって踊り抜くストーリーもアイデンティティーがテーマにある」と語った。琉舞の基本の歩みや所作を身に付けたウチナーンチュの自らの文化に対する自信を感じる
▼今年は復帰50年。50年の歩みを振り返り、次の50年を見据えて沖縄の将来像をどう描くか。爆音や不条理に屈せず、足元の文化に自信を持って力を蓄え、復帰100年への1歩目を踏み出す新年にしたい。