<金口木舌>リアルで学べること - 琉球新報(2021年11月19日)

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「リアル開催」「リアルイベント」という言葉を耳にするようになった。コロナ禍でオンラインのイベントばかりだったが、ようやく人が集まり、対面のイベントが復活した。「リアル」の響きに実感がこもる

うるま市平敷屋公民館を神奈川県の関東学院高校の生徒たちが訪れ、伝統のエイサーを体験した。平敷屋エイサー保存会が衣装を用意し、対面で丁寧に指導した。一般社団法人のプロモーションうるまが取り組む地域体験型の教育旅行の一環だ
▼保存会は念仏踊りを起源とする伝統のエイサーを守ってきた。1999年にうるま市の無形民俗文化財に指定されている。わずか半日の体験だが、保存会のメンバーと踊る生徒たちの表情は誇らしく見えた
宜野湾市の嘉数公民館では県内の学生らが京都府の高校生と意見を交わした。戦没者の遺骨が混じる恐れのある本島南部の土砂が、辺野古新基地建設に使われることなどを議論した
▼平和ガイドに携わる学生たちが中心になって企画した。高校生は事前に沖縄戦基地問題について学んでいた。対話を終え「京都では身近に基地がないが無関心ではいられないと思った」などと話していた
▼オンラインも便利だが、リアルな現場で当事者と向き合い、学べるものは大きい。対面の機会を生かし、多様な視点で沖縄に向き合う新たな世代が全国各地で育つことを願う。