<金口木舌>誰一人取り残さない教育 - 琉球新報(2021年11月14日)

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プロ野球ではクライマックスシリーズ、バスケットならチャンピオンシップやプレーオフと呼ぶ。参加する全チームが栄冠をつかむ可能性があるシーズン終盤の舞台だ。リーグ戦でつまずいたチームが挽回して優勝することもある

プロ野球の巨人で開幕投手を務めた宮国椋丞選手は昨年、戦力外となった。DeNAで育成選手として再出発し「ここからはい上がる」と誓った。今年9月に古巣の巨人相手に勝利して、言葉通りの成果を残した
▼スポーツは結果を求めるシビアな世界だ。一方、どんな状況でも前進する人たちに、目標実現のための道筋を示す寛容さもある。たとえ回り道をしても、何度でもやり直せると教えてくれる
▼県教育委員会は次年度、義務教育の学び直しができるコースを嘉手納と石川の両高校に設置する。高校入学後でも基礎学力を向上でき、授業について行けずに退学する生徒を減らすことを目指す
▼高校からは専門性の高い授業も始まる。内容が難しいと感じる生徒も少なからずいるはずだ。それぞれが置かれている状況に目を向け、生徒に合わせた教育を進めることは重要だ
▼子どもたちは目標を持って高校に進む。学び直しの制度が定着すれば、夢をあきらめて退学する生徒もいなくなるだろう。誰一人取り残さない教育を実現して、学校が生徒の希望に満ちた場所となってほしい。