【政界地獄耳】衆院選情勢調査で大混乱…最新化しなきゃ - 日刊スポーツ(2021年10月29日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202110290000042.html

衆院選最終盤でメディアはそれぞれ情勢調査を行い、そこに各社独自の情報を加味して発表している。ところがその結果があまりにも各社でいろいろな数字が出てくるため、各陣営は大混乱に陥っている。ことに全国紙がその情勢分析をストレートに記事化すると、各事務所は浮足立ったり小躍りしたりと候補者の一喜一憂が激しくなる。その精度は結果を見てみないとわからないが、終盤の調査で投票行動を決める人も多いことから慎重さが望まれる。つまり細かく分析し、責任ある報道になっているのかは、選挙報道の場合には極めて影響が大きいだけに問われることになる。

★23、24両日に朝日新聞産経新聞・FNNが行った調査には大きな隔たりがある。朝日は自民党の獲得議席を251から279と予想、産経は218から246。立憲民主党については朝日94から120、産経126から151。ここまで結果が変われば混乱は容易に想像がつく。実は朝日はネット調査を導入。全国で計35万3868件のサンプルと規模は大きいが、選挙区当たりの対象数、年齢構成、男女比が分からない。産経は電話調査で、サンプル数は選挙区、約500、計15万5045と減るものの男女別・年齢別で調査されている。ところが比例区については、朝日も産経も電話調査という。各陣営も有権者もこの数字をどう見たらいいかの分析の方が大変だ。

★その調査の方法だが、電話調査が一般的だが、オペレーターが一般家庭やスマホに無作為抽出して電話し、設問に答えてもらう方式は当初よりも減り、今は使われない手法になってきた。それに代わり昨今の主流はランダムに電話してそのまま音声テープが流れて設問に答えてもらうものだ。これはテープだとわかると電話を切ってしまう人も多いという。世論調査はメディアにとっては大切な仕事だが、カネと手間がかかる厄介な部分もある。そろそろ日本も大手の調査機関か各社が参加して大規模に調査し、分析で競う時代が求められているのではないか。(K)※敬称略