<金口木舌>真の「代議士」は誰か - 琉球新報(2021年10月19日)

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世に「先生」と呼ばれる職業は数多くある。学校の教師をはじめ、医師や弁護士、保育士、小説家や漫画家も該当するだろう。広辞苑では、先に生まれたという意味の他に、学徳の優れた人や指導的立場にある人への敬称とある

▼もう一つ、特に選挙前に存在感を増す「先生」がある。政治家だ。事務所開きや集会で、優れた学徳をたたえ合うのを聞くと、敬意だけでなくおべっかの匂いも感じてしまうのは不思議なものだ
▼政治家の中でも、衆院議員に限って「代議士」と呼ぶことがある。大日本帝国憲法下で、非公選だった貴族院に対し、衆議院は直接国民に選ばれていたことに由来する。名の通り、国民を代表して国会で審議することが職務だ
▼その国民の代表を選ぶ衆院選が、きょう公示される。新型コロナウイルス感染症という未曽有の逆境が続く中、未来を左右する選挙となる
▼政治離れが叫ばれて久しいが、コロナ禍に対する政治の後手後手ぶりは、皮肉にも日々の生活と政治が密着していることを浮き彫りにした。感染拡大の波に翻弄(ほんろう)された国民は、暮らしを良くするには誰に投票するべきかを真剣に考えている
▼大規模集会の開催が難しくなるなど、選挙風景は様変わりしそうだ。 それでも、託す一票の重みは変わらない。主権者の代わりに国政に声を届ける「代議士」は誰か、じっくりと考えよう。