【政界地獄耳】緊急事態宣言延長 見通し甘い田村厚労相 - 日刊スポーツ(2021年9月11日)

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菅内閣は最後の最後まで定見を持たず、その場しのぎの甘い見通しと逃げてばかりの政治に終始した。9日、首相・菅義偉は緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の政府方針を説明する衆参両院の議院運営委員会に出席しなかった。ついに最後まで国の総責任者としての役割から逃げ続けたといえる。国会を閉じて議運委で報告することは与野党の確認事項だが、首相欠席は在任期間の今月いっぱい続くだろう。この内閣の不作為は続く。

★10日、厚労相田村憲久は19都道府県で緊急事態宣言の期限延長を決めたことについて「順調に感染が減っていけば、9月の終わりごろには多くの地域で解除できる水準まで下がってくる」との甘い見通しを示した。もちろん多くの関係者の努力と何より国民の協力である程度の感染者は減るかもしれない。だがそれは解散総選挙を断行する口実にしか聞こえない。その意味では政権が変わってもコロナ禍は続く、その継続性がただの前政権の踏襲になることには疑問もある。

★また田村は行動制限緩和の基本方針に関し「将来に向けて、国民に一定の方向性を示す」と言い出した。飲食の緩和や10万人に25人以上の感染者でステージ4となり緊急事態宣言が発令される今の基準の変更をして緊急事態宣言が出にくいルールに変える可能性もあるのではないか。この変更が何をもたらすのか、田村は承知で発言しているのだろうか。無論ワクチン効果や3回目のワクチン接種などの好材料もあるだろう。だが現実は冬季の感染拡大と重症化を今は恐れて準備すべき時ではなかろうか。甘い見通しを掲げることでこの内閣は何を得ようとしているのか。国民との信頼関係が最後まで作れぬ内閣だ。(K)※敬称略