<金口木舌>大臣の思惑は何か? - 琉球新報(2021年8月29日)

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「気候変動のような大きな問題は、楽しく、クールで、セクシーに取り組むべきだ」。2019年、国連本部で行われた環境問題会合後の会見で小泉進次郎環境相の発言が問題になった

▼異文化コミュニケーションの専門家によると「セクシー」は広義で魅力的という意味。しかし、政治家の言葉としては疑問符が付くという。気候変動は深刻だ。「セクシー」という軽い言葉で語れないという指摘もあった
▼英語はコミュニケーションの道具であって、文化の多様性への理解が欠けていると使い方を誤る。河野太郎沖縄担当相が英語教育について、米軍基地の活用を唱えている。基地は戦争に備える場であって教育機関ではない
▼提案に新味もない。沖縄の学生が基地内大学で学ぶ仕組みは1987年から整っている。保守系西銘順治知事の肝入りで国防総省に要請し始まった。これまでに1655人を送り出している
▼米統治下時代、米民政府は沖縄の永続的な統治を前提にした宣撫工作の一環で、県内5カ所に「文化会館」をつくり、英語教育の一助とした。米国の国家政策の達成が狙いと言われている
▼基地を豊富な「リソース(資源)」と言う河野担当相の頭には、沖縄に基地を長く残すという考えがあるようだ。英語教育を説く前に県民の願いである「基地を減らしてほしい」という日本語の意味を理解してほしい。