<金口木舌>「生理の貧困」タブー視から一歩先へ - 琉球新報(2021年8月21日)

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新学期が始まると小中学校の提出物に、ティッシュペーパー、せっけんなど衛生用品がある。提出物に生理用品を含められないだろうか。「生理の貧困」をテーマにした15日付の本紙特集を読み思った

▼生理用品は欠かせない衛生用品のひとつ。月1回の生理にかかる生理用品(ナプキン)の価格は510円ほど。支払いが難しい人もいる。学校のトイレに用品が常備されていれば多くの子どもが安心して過ごせるだろう
▼生理痛を含め生理の困り事が公にされなかったのは、学校で生理のしくみを学ぶ機会が少なかったからと言われる。家庭で母親が教えるものという「しつけ」の領域で想定されているためと識者は指摘する。父子世帯や母親の体調不良で関われない家庭もある
▼当方が小中学生の頃、生理が始まると「母親が赤飯を炊いて祝う」という習慣があり違和感があった。生理の問題は家庭でという考え方を根付かせたのではないか
▼「生理の貧困」の背景にあるのは社会構造のひずみ。男女の賃金格差があり、女性は非正規雇用が多い。生理用品の購入がままらない、生理休暇を取得できない人もいる
▼フランス政府は大学生への生理用品の無料配布を決め、英国では購入時の税金が廃止された。県内では民間団体による生理用品の寄贈が盛んになっている。“善意”が社会構造を変える原動力につながるといい。