【政界地獄耳】官邸主導コロナ対策に地方自治体の悲鳴が聞こえる - 日刊スポーツ(2021年7月21日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202107210000055.html

★各メディアの内閣支持率などの世論調査が万能だとは思わない。ワクチン接種が遅れれば支持率が下がり、接種が進めば上がるという様を見て、これぞ世論調査だとは思えない。だが19日の会見で県庁出身の“たたき上げ”秋田県知事・佐竹敬久内閣支持率菅内閣発足以降最低となったことについて自治体の首長の立場からの視点を示し「国民の心情の捉え方が甘いのではないか。地元出身だが、県民にも相当批判的な方が多い」とした。

★また「政府がばらばらで一体感がない。各大臣のスタンドプレー」と首相・菅義偉指導力に疑問を持ち、「内閣府はしょせん、素人の集まりだからどうしようもない。官邸主導が全部裏目に出ている。専門的な知識が必要なときに、官邸主導は間違うときがある」と指摘。行きすぎた官邸主導が新型コロナウイルス対応の混乱を招いているとして、感染防止対策やワクチン接種を加速、東京オリンピック(五輪)を巡る対応、飲食店の酒類提供停止などで省庁から県に連絡が頻繁にあったが「市町村に知事から言ってくれと、上から目線で言われたから、私は反発して何も言わなかった。強圧的でものの言い方が上から目線だ。そこに市町村も都道府県も反発している」と例題を上げた。

★知事が指摘するように、組織的な計画策定の時間や官僚が精査する余裕がないのだろう。また首相を軸に官邸から、あれをやれ、これをやれと指令が飛べば言われたとおりにするだけで、省庁間の調整や法的根拠を含め、合理的な効果などを役所で照らし合わせず、大臣の会見に進む。現実には酒取引停止要請の会見で経済再生相・西村康稔発言で大混乱になった時も首相、西村、官房長官加藤勝信で話をし「今回は西村の独断ということにしてくれ」としたことが頻繁に起きている。地方自治体の悲鳴が聞こえる。(K)※敬称略